ペンス副大統領、対北朝鮮「あらゆる選択肢ある」 板門店を視察

北朝鮮との軍事境界線沿いの非武装地帯(DMZ)の警戒所を訪れ、在韓米軍のビンセント・ブルックス司令官(右)と会話を交わすマイク・ペンス米副大統領(中央、2017年4月17日撮影)。(c)AFP/JUNG Yeon-Je〔AFPBB News

 普段、安全保障とは縁遠いテレビのワイドショーまでもが北朝鮮情勢を取り上げ、米国政府による北朝鮮攻撃まで秒読みだと論じている。米国はすでに準備が完了していると述べるコメンテーターも少なくない。しかし、本当にそうだろうか。

 筆者は“現時点”では、その見解には反対である。米国の先制攻撃の蓋然性はなく、可能性も低いとみている(ツイッター等でも一貫して主張してきた)。以下ではその根拠と、今後どのような場合に蓋然性が高まるのかを述べてみたい。

空母1隻では戦力不足

 第1の根拠は、空母打撃群の展開状況である。

 現状で西太平洋に展開する空母は、カール・ビンソンただ1隻だ。空母ロナルド・レーガンも横須賀にいるが、これは5月まで整備予定であり、その上、さらに訓練を行わなければ実戦投入は不可能だ。リビア空爆(1986)は空母3隻、湾岸戦争は空母6隻、ユーゴ空爆は空母1隻+同盟国軽空母2隻、アフガン攻撃は空母4隻程度、イラク戦争は空母6隻で攻撃を実行している。ブッシュ政権末期にイラン攻撃がささやかれた際は空母3隻がペルシャ湾に集結した。だが、現状はたかだか空母1隻でしかない。これではいかにも戦力不足である。

 というのは、北朝鮮の対空ミサイルを中心とする防衛網は相当強力だからである。航空戦力は無きに等しいが、イラン製の新型フェイズドアレイレーダーを装備しているほか、ロシア製S-300のコピーとされるKN-06対空ミサイルを複数装備している。また、低空攻撃であれば、携帯式対空ミサイルや対空砲が数千門を超える数を展開している。