ちなみに、米軍が北朝鮮に攻め入る際はどれくらいの兵力が必要だろうか。2013年に米陸軍は北朝鮮崩壊時の核兵器等の差し押さえを想定したウォーゲームを実施した。その際の結論は、最終的に2個師団の投入に56日間かかり、9万人の米軍の兵力が必要、というものであった。現在、米韓軍事合同演習が実施されている最中だが、とても数が足りない。

 また、この演習での結論としては、(1)オスプレイによる敵中深くへの戦力投射は、すぐに膨大な北朝鮮軍に包囲されてしまい失敗の連続となる、(2)人的情報がとても足りず、偵察衛星や盗聴による技術情報ではとても埋め合わせができず攻撃等に難儀した、というものであった。これも一部のメディアが「近いうちに行われる」とする特殊部隊やトマホーク等による斬首作戦の困難性を示唆している。

北朝鮮攻撃の蓋然性が高まるのはいつか

 では、どのような状況になると北朝鮮攻撃の蓋然性が高まったと見なせるのか。

 それは、ニミッツ空母打撃群が西太平洋に展開し、ロナルド・レーガン空母打撃群も合わせて3個体制に移行し、パトリオットミサイル部隊の更新とTHAADの配備が終了し、在韓・在日米軍の増強が開始されたときだろう。

 無論、現時点でも限定的な攻撃は、米本土からB-2爆撃機を飛ばせば可能である。意外性を好むトランプ大統領の「ギャンブラー」としての性格を考えれば、あり得ない選択肢ではない。

 しかし、トランプ氏自身が繰り返し述べてきたように、現政権は首尾一貫して中東重視である。実際にシリアに地上兵力を投入しており、これを15万人に増やすべきという議論も政権内で行われている。

 そして、トランプ政権の安保政策の主導権を握っているとされるマティス国防長官やマクマスター国家安全保障担当補佐官は、イラク戦争で苦労した経験を持つ軍人である。後先を考えない楽観主義に基づく戦争の尻拭いを10年以上やってきた彼らが、そのような攻撃の計画をトランプに提案する可能性は低い。

 そう考えれば、やはり、米軍による先制攻撃は、少なくとも上記のような態勢への移行がほぼ完了した時点と考えるのが妥当だろう。

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