ドル高、ウォン安となれば、以前なら輸出依存度が高い韓国経済にとってはプラスだった。ところが、いまは、そうとばかりは言えない。

 韓国の輸出は新興国向けの比重が高くなっている。ドル高でこうした新興国の経済に悪影響が出れば、「ウォン安=輸出増」とはなりにくいのだ。

 韓国からの資金流出も心配だ。だからといって、簡単に韓国銀行が利上げできるかと言えば、簡単ではない。

時限爆弾「家計債務」

 国内景気の回復が遅れているほか、「時限爆弾」を抱えているのだ。膨れ上がった家計債務だ。その額は1300兆ウォンを超えている。

 すでに市中金利はじわじわと上昇しているが、利上げでさらにこれが上昇すれば「庶民経済」には大きな打撃となりかねない。

 もう1つ。「待ったなし」の案件がある。造船大手、大宇造船海洋の再建問題だ。

 世界的な造船不況で韓国の「造船ビッグ3」の1社である大宇造船は深刻な経営危機に陥っている。社名は「大宇」だが、韓国にはもう大宇グループはない。経営破たんでとっくになくなっている。大宇造船は、国策銀行である韓国産業銀行の子会社だ。

 政府は大宇造船の経営危機が表面化した2015年秋に韓国産業銀行など政府系金融機関に4兆ウォン以上の金融支援をさせて急場をしのいだ。

大宇造船、社債償還迫る

 しかし、市況の好転は遅れ、経営問題は一向に解決していない。2016年も1兆6000億ウォンの営業損失を出している。新規受注がほとんどないほか、産油国の納入先が資金難に陥って代金を回収できない例も出ている。

 大宇造船にとって最初の大きな関門が4月に来る。4400億ウォン規模の社債の償還期限だ。これを乗り切っても7月3000億ウォン、11月2000億ウォンと年内にさらに5000億ウォン、さらに2018年3月にも3500億ウォンの償還が必要だ。

 会社を運営するために毎月8000億~9000億ウォンの資金も必要だという。いったいこの企業をどう再建すると言うのか。

 韓国メディアによると、大宇造船の金融負債額は19兆ウォンに達している。金融機関にとっても重大な問題だ。

 3月15日、韓国金融委員会は「経営正常化のためのあらゆる方策を検討している」とのコメントを出した。大手紙「中央日報」は3月16日付で、「政府、大宇造船へ4兆ウォン台追加支援」と報じた。