また、がん難民の94%が医師の説明に不満を持っており、がん難民はそうでない患者さんと比べて治療の説明時間が有意に短かった、という報告があります*9。つまり、医師と患者さんの間のコミュニケーション不足も一因となっているのです。

 医師と良好なコミュニケーションを取るにはどうしたらよいでしょうか?

 正直これはかなり難しい問題です。がんの検査結果や治療の選択肢などはすべて医師側が把握しています。例えるなら、医師はスポーツの先生のようなもので、新しい競技を教え、そのルールや道具の使い方を教えるのも医師なのですから、患者は受け手になるしかありません。

 その結果、「先生にお任せします」という方が多くいらっしゃいます。しかし、最近は「自己決定を尊重する」ということが医療界の大前提とされており、「それでは困る、自分で決めなさい」と、突然提示された選択肢を選ぶよう医師から迫られます。

納得できるまで医師に相談する

 腑に落ちないまま選んではみたものの、それが医師の考えと合わないと嫌な顔をされ、時には怒り出す医師もいるようです。患者側が完全に不利な状況で、医師とどのようなコミュニケーションを取ればいいのでしょうか?

 結論を言えば、納得できるまで医師に説明を求めて、納得できる治療を選んでいくしかないと思います。

 本当はいろいろと聞きたいことはあるが忙しそうなので相談しにくい、また何を聞いたらよいか分からない、と遠慮されてしまう方もいらっしゃるでしょう。そんなときでも、その心配な気持ちを思い切って医師に伝えてみてください。治療を受けるのは自分なのですから遠慮する必要などありません。

 それでも答えてくれないようなら、ぜひセカンドオピニオンやがん相談支援センターを利用して治療について納得するまで相談できる医師を探しましょう。

 私は、納得できないまま治療が進み、後悔をされる方に多くお会いしてきました。また医師と患者も人間同士ですから、どうしても合う合わないはあると思いますし、そういう私も、考え方が合わず離れていってしまった患者さんは何人もいらっしゃいます。

 がんと戦う、共存するのは簡単なことではありません。余計な人間関係でストレスを抱えず、ご自身が納得できる治療を受けられる、それが当たり前の世の中になってほしいと思っています。

 ただ最後に1つお願いがあります、同じ検査を何回もやることは身体にとって負担になってしまいますので、別の医師を受診するときは、必ず紹介状をもらうようにしてください。

*1=シード・プランニング. 再生・細胞医療研究の現状とビジネスの展望 -調査結果-2016-9-27

*2=日本臨床腫瘍学会編. がん免疫療法ガイドライン. 金原出版,2016,118p

*3=選択. 2017,3月号,p104-105

*4=Kosugi K, Tsuda K, Higuchi A, et al. Bridge the deep chasm between patients with cancer and palliative care in Japan. BMJ Supportive & Palliative Care 2017. doi: 10.1136/bmjspcare-2017-001329

*5=勝俣範之. 「抗がん剤は効かない」の罪. 毎日新聞社,2014,198p

*6=ホスピス緩和ケア白書2015,http://www.hospat.org/white-book_2015-top.html

*7=ハフィントンポスト.2016-07-12.http://www.huffingtonpost.jp/kazuhiro-kosugi/terminal-care_b_10935710.html

*8=厚生労働省. 再生医療等の安全性の確保等に関する法律に基づく緊急命令について. 2016-10-31

*9=日本医療政策機構. 政策提言vol.5「がん患者会調査報告-『がん難民』解消のために-」https://www.hgpi.org/handout/2010-04-16_34_317692.pdf