筋肉増量のダイエット効果は“ほぼ幻想”だった

基礎代謝量の増加より脂肪の燃焼を目的に

2017.02.24(Fri) 漆原 次郎
筆者プロフィール&コラム概要

「部活動程度」では基礎代謝量に差がつかず

 人の場合、すべての代謝の中で基礎代謝が占める割合は約6割とされる。それほどの高い割合だから、筋肉を増やせれば、普通に生活していてもダイエット効果を得られそうな気になってくる。

 問題は「筋肉の量を増やすと基礎代謝量がどのくらい増えるのか」だ。

 北星学園大学の医学やスポーツ科学の研究者たちのチームは、「若年女性の運動習慣が基礎代謝量、および体組成に及ぼす影響」という研究ノートを発表している。女子大生15人を、部活動で運動を長いこと日常的に続けている「継続群」、続けていた運動を中止した「中止群」、運動をしていない「非運動群」に分けて、各群の基礎代謝量などを測ったという。

 結果、どの群においても、1日あたりの基礎代謝量にも、また体重1キログラムあたりの基礎代謝量にも「有意な差は認められなかった」としている。

 一方で、体重における脂肪の割合を示す体脂肪率については、継続群は中止群より約3.1パーセント、非運動群より約4.1パーセント、低かったとするデータを示している。

 つまり、どの群でも基礎代謝量に差は無かったが、体脂肪率は運動をしている人のほうが低かった。この意味するところは何か。

 研究チームは、部活動ぐらいの運動は「競技者のように筋量の増大によって基礎代謝量を高くしてエネルギーを消費するまでは至らず、活動を続けることによってはじめてエネルギー消費量が保たれる」と推察している。

筋肉1キロ増で寿司1貫のシャリ分・・・

 筋肉量と基礎代謝量の関係に詳しい運動生理学の研究者は、「確かに筋肉量を増やせば基礎代謝量は上がります」と、関係性を認める。一方で、「筋肉を1キログラム付けた場合、1日の基礎代謝量が上がる分は30〜50キロカロリーに過ぎません」ともいう。30〜50キロカロリーといえば、ご飯にして20〜35グラムほど。寿司1貫分のシャリと同じぐらいだ。

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1975年生まれ。神奈川県出身。出版社で8年にわたり理工書の編集をしたあと、フリーランス記者に。科学誌や経済誌などに、医学・医療分野を含む科学技術関連の記事を寄稿。日本科学技術ジャーナリスト会議理事。著書に『日産 驚異の会議』(東洋経済新報社)、『原発と次世代エネルギーの未来がわかる本』(洋泉社)、『模倣品対策の新時代』(発明協会)など。


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