特に暑さの厳しい夏は疲労の蓄積が早く、年齢を重ねると回復が追いつかない。こうして、若い頃よりも夏バテしやすくなるというわけだ。

「ALA」が代謝量の変化に関わっている? 

 加齢によって代謝量が低下する原因はいくつか考えられている。その1つとして指摘されるのが、人間の体内にある「ALA(アラ:5-アミノレブリン酸)」という成分の減少だ。ALAとは、代謝に深く関わるアミノ酸の一種である。

 人間の代謝は、細胞内のミトコンドリアの中で行われている。食事で摂った糖分や脂質といった栄養素は、ミトコンドリア内でALAによって燃やされてエネルギーに変換される。

 実は体内にあるALAの量は、加齢とともに減少することが分かっている。ALAの量は17歳をピークに下がり続け、理論的には120歳でゼロになる。ALAが減少していく割合と基礎代謝量の減少の割合はほぼ重なっているという。

 こうした様々な研究の成果から、医療分野や企業において、体内にあるALAの量を増やすことで疲労回復や夏バテ予防につなげようという研究や商品開発が行われている。なお、ALAの研究報告は1950年代からあったが、1980年代後半に大量生産が可能になったことで研究が活発に行われるようになった。

 現在、ALAは疲労回復のみならず、エイジングケアや免疫の調節、造血といった様々な方面への適用が試されている。ヨーロッパなどでは、ALAをもとにした診断薬が実用化されているという。