7月も中旬を超えると韓国では本格的な夏が始まった。そして韓国で夏バテ防止によく食べるのは何と言っても参鶏湯(サムゲタン)。今年も初伏の日(今年は7月18日)には有名な参鶏湯(サムゲタン)のお店に長蛇の列ができ、マスコミでも参鶏湯だ、チキンだと鶏肉の消費を煽った。

夏は日本のうなぎと韓国のチキン

 日本では土用の丑の日にウナギのかば焼きを食べるのが慣習になっているように、韓国ではこの三伏の日に滋養強壮にいいものを食べるのが慣習となっている。

 三伏とは、陰暦の6月から7月の間の節気で初伏、中伏、末伏を指す。夏至から3番目の庚日を初伏、4番目の庚日を中伏、入秋から最初の庚日を末伏といい、これをまとめて「三伏」という。

 韓国で夏の暑さを表現するとき、「伏日」とか、「三伏の暑さ」などと言うが、これは陰気が陽気に押されて伏している日だという意味だ。

 「伏」の字は人が犬のようにうずくまっている形状で、五行でいう秋の機運(金)が大地に降りてこようとするが、まだ夏の暑い機運(火)が強烈なので立てずに伏して屈服するという意味である。(出典:国立民俗博物館韓国歳時風俗辞典)

 とにかく三伏の日には、夏バテ防止のために滋養強壮にいい補養食(気を補う食事)を食べる。

 そこで最もポピュラーなのは、先述したとおり参鶏湯(サムゲタン)だが、そのほかにも犬肉(栄養湯、補身湯、サチョル湯という、ここで湯とはスープのこと)小豆粥(パッチュッ)、豆乳麺(コンクッス)、ユッケジャン、ドジョウスープ(チュオタン)、カルビタン(カルビのスープ)などがある。

 参鶏湯は、若鶏の中にもち米、高麗人参、栗、棗(なつめ)、にんにくを入れて1時間ほどじっくり煮たものである。いたってシンプルだが、高タンパク質低カロリーなので、暑さで食欲をなくした人にはやさしい食べ物である。

 韓国には「伏の日に犬をたたくように打つ」という言葉があるが、「容赦加減なく滅多打ちにする」という意味。

 これは昔、韓国で伏のつく日に犬を木にぶら下げて撲殺して食べたことから生まれたかなり残酷な言葉である。