いまミュンヘンで原稿を書いていますが、こちらドイツで聞いたとこによると、「2030年に存在する職業の65%は2015年時点には存在しない」という試算があるそうです。
つまり、いま小学生程度の子供が15年後に大学を卒業した時、就職先として存在する職種の大半は、現在はまだ影も形もない仕事である可能性があるという。
これは「温故知新」、15年後を考えるというのですから15年前を振り返るとよく分かるように思います。そこで最初は「デジタルな例」から、新しく生まれた仕事、消えていった仕事を考えてみましょう。
2000~2001年頃、世界はどのようであったでしょう?
いわゆる「IT革命」は一段落ついて、それまではITインフラ自体がビジネスの対象だったのが「これからはITを使ってビジネスする時代」なんて言っていた。まさに隔世の感があります。
私はちょうどこの時期、東京大学に新設された情報部局に音楽教授として招聘され、副業として情報処理やら起業家育成やらと関わり始めましたので、昨日のことのようによく覚えています。
少し前まで大半が文字コンテンツのナローバンドだったネットワークが「これからはブロードバンドで、ピア2ピアの音声動画配信が可能になる時代が来る!」なんてことでソニーと実証実験などさせてもらいました。
しかし、現実に配信された初期の音声動画で最も多く視聴された1つは、ワールドトレードセンターに突っ込んで行く飛行機とそれが崩落して行く9.11同時多発テロの映像記録コンテンツだった・・・。
すべて歴史になりつつあり、光陰矢のごとしと思わないわけにはいきません。
当然ながら当時は「スマートホン」なんてものは存在しない。ツイッターやフェイスブックのようなソーシャルメディアもなければ、ビッグデータなんて言葉もなく、スマートグリッドもなければクラウドコンピューティングという概念だって夢想だにされていない。
こうしたツールに関連する、あらゆる仕事は2001年時点で考えられてもいないし、またここ15年の間に生まれ、消えていった職種だって山のようにあります。
メモリー1つ考えても2000年時点ではまだ各種のフロッピーディスクが現役の媒体として使われており、初期化その他手間をかけていたものです。