TPPで注目される「地理的表示保護制度」とは?

地域ブランド化と6次産業化で強い農業を目指せ

2016.01.08(Fri) 白田 茜
筆者プロフィール&コラム概要

 2006年から始まったこの制度では、地域団体商標の商標権を取得すれば、知名度のある地域ブランドを使用し、他人が便乗して使用することを禁止することができる権利が認められる。2015年12月31日時点で587件が登録されている。

 一方、2015年6月には「○○ビーフ」など地名に産品名を結びつけた地理的表示を知的財産として保護する「地理的表示保護(GI:Geographical Indication)制度」が始まった。

 GI制度は、不正な地理的表示の使用を行政が罰則で取り締まるもの。地理的表示が生産地や品質の基準とともに登録されれば、地理的表示の使用が認められるようになり、「GIマーク」を付することもできる。不正な使用を行政が取り締まり、訴訟の負担なく自分たちのブランドを守ることができるのだ。消費者にとっても、行政の“お墨付き”があるので分かりやすい。

GIマーク
地域団体商標制度との比較(参考:農林水産省「他のブランド関連制度との違いについて」(地理的表示活用ガイドライン)を一部抜粋して筆者作成
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 GI制度の対象となる産品は、農林水産物や食品などだ。産品の登録要件として、同種の産品と比べて差別化された特徴があり、その特徴がある状態でおおむね25年にわたり生産された実績(伝統性)がある場合に登録できるとしている。また、産地や生産方法が産品の特性と結び付いていることを説明しなければならない。

 農林水産省は申請内容を公示し、第3者からの意見書提出期間を3カ月間設けている。同省の「登録申請の公示等情報」によると、12月21日時点で申請があったものは15品。このうち、12月22日に北海道夕張市の「夕張メロン」や兵庫県の「神戸ビーフ」「但馬牛」など7産品が登録された。

 同省は認定で販売価格を押し上げ、農家の所得向上につなげたい考えだ。今回認定されなかった品目についても、今後、順次認定していくという。

地理的表示保護制度で登録された商品。2015年12月現在(参考:農林水産省「登録産品一覧」を参考に筆者作成)
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1978年佐賀県生まれ。佐賀県庁で食品のブランド化に関わる。その後、大学院で農業政策や食品安全に関するリスクコミュニケーションを学ぶ。食品コンサルタント会社を経て、現在は社会的関心が高い科学ニュースについて専門家のコメントを収集しジャーナリストに提供する活動をしている。関心のあるテーマは、農業、食品流通、食品安全、リスクコミュニケーション。


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