「いつも、そのまま」を可能にした缶、瓶、タッパー

変わるキッチン(第19回)~保存する

2015.12.25(Fri) 澁川 祐子
筆者プロフィール&コラム概要
缶詰。食品を加熱殺菌して密封する。食品の保存に大きく貢献した

 惣菜のストックをつくるのは楽しい。野菜を下茹でしたり、豆を煮たり、ときには大量のミートソースを仕込んだり。出来上がったものをせっせとラップフィルムにくるみ、ジッパー式の保存袋や保存容器に入れ、冷蔵庫や冷凍庫に詰める。

 忙しいときでも「冷蔵庫にあれがある」と思えば、心強い。つくり置きの惣菜は、心の余裕までストックしてくれるみたいだ。

 私と同じように感じる人は少なくないのだろう。ここ数年「つくり置き」「常備菜」を謳うレシピ集が料理本コーナーをにぎわせ、ベストセラーも生まれている。その筆頭が、主婦の友社から出版された『作りおきサラダ』『作りおきそうざい』などの「作りおき」シリーズだ。2013年より刊行され、2015年9月現在でシリーズ累計64万部に達している。

 だが、いまと違って冷蔵庫がない時代は、人々にとって食料の保存はもっと切実な問題だったにちがいない。おまけに現代のように、いつでも新鮮な食材が買えるスーパーもなかったわけだから、収穫したものをいかに長くもたせてやりくりするかは、日々の食卓を大きく左右したはずだ。

 いまも昔も変わらず、台所に立つ人にとって大きな関心事である食料の保存。それがどのように変化を遂げ、暮らしを変えてきたかを追ってみよう。

密閉で可能になった「そのまま」保存

 食料の保存の歴史をたどると二度、大きな転換期を迎えている。一度目は、19世紀初頭における瓶詰の発明である。これはさらに缶詰の登場にもつながっていく。そして二度目が19世紀後半から20世紀にかけての冷蔵技術の発達、つまりは冷蔵庫の普及だ。

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1974年、神奈川県生まれ。東京都立大学人文学部を卒業後、フリーのライターとして食や工芸・デザインを中心に、読むこと、食べること、暮らすことをテーマとしたインタビューやルポ、書評を執筆。『森正洋の言葉。デザインの言葉。』(ナガオカケンメイ監修、美術出版社)、『最高に美しいうつわ』(SML監修、エクスナレッジ)の取材構成ほか、近著に当連載をまとめた『ニッポン定番メニュー事始め』(彩流社)がある。


食の万華鏡

食の安全に対して国民の関心が高まっている。今後、安全で美味しい食の供給国としての日本を考えた時にもこの問題は重要になる。食の安全の話題を中心に、食トレンド、食品マーケットなど、食にまつわる様々なテーマを取り上げる。