「数学のノーベル賞」で女性初受賞、イラン出身の米大教授

2014年、数学のノーベル賞と言われるフィールズ賞を女性が初受賞した。イラン出身のマリアム・ミルザハニさん(米スタンフォード大学教授)。写真は女性大統領としてミルザハニさんに賞を授与する韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領〔AFPBB News

 確かに日本は現在まで、数多くのノーベル賞受賞でも分かるとおり、東アジアにおいて抜群の創造的知性を発揮して、近隣諸国を圧倒してきました。

 しかし、それには理由があったわけだし、隣国がいつまで経っても個人が創造性を発揮できる社会体制を構築できないのにも、構造的な背景があるわけです。

 そう考えると、決して中国や韓国の現状を対岸の火事と笑って見ていられない現実が分かるはずだと思います。

 東アジア諸国が基礎科学で十分な成果を出すことができない大きな理由は拙劣な学術行政にあります。

対岸の火事と思う人は危険

 教育や研究の指導が根本的な限界を持っている。だから成果が出ない。業績を挙げにくい。同じ研究者が海外に転出すれば、米国や欧州で豊かな業績を挙げることができる。

 1957年に中国人としてはじめてノーベル物理学賞を得た楊振寧教授や李政道教授などは、シカゴ大学という場、エンリコ・フェルミやスブラマニアン・チャンドラセカールのような優れた師友を得て 、豊かな才能を一気に開花させました。

 つまり教育や研究の指導が大事なのです。逆に言えば、教育や研究の指導を誤れば、現在の中国や韓国が陥っている状況は決して日本にとって他人事でないのです。すぐに二の舞を踏んでも、何の不思議もありません。

 なんて一般論で言っても、ちょっと分かりにくいですし、実は同様の過ちを、私たちも日常生活で容易に犯してしまう危険が高い。今回はそういう観点で物事を考えて見ましょう。

 中国がダメで日本はイイ、のではありません。いま中国や韓国が陥っているのと同じ「ダメ」を重ねると、日本でも同様か、それよりも酷い状態だって、容易に起きかねない。

 「対岸の火事」と安心して見る人があれば、その人が一番、ハイリスク・グループに属している危険性が高いと思います。

 「人の振り見て我が振り直せ」という視点で、いくつか具体的に考えてみましょう。