中国の「QT」が引き起こす世界の金融バブル崩壊

原油市場が「強気相場入り」? しかし結果は三日天下に

2015.09.04(金) 藤 和彦
    http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/44709
  • 著者プロフィール&コラム概要

 人民元防衛に動けば人民銀行は保有する海外債券を市場に放出することになるが、これにより世界の金融市場から流動性が失われることになる。リーマン・ショック後、米連邦準備制度理事会(FRB)が米国債などの資産を購入して世界の金融市場に流動性を供給した「QE」(Quantitative easing:量的金融緩和政策)が、現在の人民銀行はその逆に当たる「QT」(Quantitative tightening:量的金融引き締め政策)を実施し始めているというわけである。

 米国のQEの規模は3期にわたり、合計3.9兆ドルの資金が世界の金融市場に放出された。4兆ドルの外貨準備を保有していた人民銀行がQTを実施し続ければ、米国のQE以上の資金が世界の金融市場から吸い上げられ、世界の市場関係者のリスク志向は萎えてしまう。世界のリスク資産は総崩れだろう。

 中でもFRBのQE開始とともに上昇を始めた原油価格は、人民銀行のQTにより2003年以前の原油価格(1バレル=20ドル前後)に下落するのではないだろうか。

シェール企業関連債券が大地震を引き起こす?

 米国で投資家は5週連続でジャンク債の投資信託から資金を引き揚げている。中国のQTによる最初の犠牲者はシェール企業かもしれない。

 シェール企業への逆風はまだある。かねてより環境保護団体が、シェール企業が原油の採取に用いる「水圧破砕法」に対して地震発生につながると警鐘を鳴らしていたが、8月27日、カナダ西部ブリテイッシュコロンビア州当局は2014年8月に観測されたマグニチュード4.4の地震はシェールガスの採掘によって引き起こされたとの見解を示した(水圧破砕法による地震としては世界最大級)。

 水圧破砕法は欧州の一部諸国では禁じられている。今後、北米地域での生産活動にも悪影響が出るかもしれない。

 シェール企業と地震は縁があるようだが、中国発のQTにより、世界の金融市場でシェール企業関連債券が大地震を起こさないと言い切れるだろうか。

5
スマートエネルギー情報局TOPに戻る
PR
PR
PR
バックナンバー一覧 »

POWERED BY

  • ソーシャルメディアの公式アカウントOPEN!
    TwitterFacebookページでも最新記事の情報などを配信していきます。「フォロー」・「いいね」をよろしくお願いします!
Twitter
RSS

 

経済産業研究所上席研究員。1960年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。通商産業省(現・経済産業省)入省後、エネルギー・通商・中小企業振興政策など各分野に携わる。2003年に内閣官房に出向(エコノミック・インテリジェンス担当)。2016年から現職。著書に『日露エネルギー同盟』『シェール革命の正体 ロシアの天然ガスが日本を救う』ほか多数。

オリジナル海外コラム

米国、欧州、中国、ロシア、中東など世界の政治経済情勢をリアルに、そして深く伝えるJBpressでしか読めないオリジナルコラム。

>>最新記事一覧へ