8月12日夜、中国・天津市の港湾地区にある倉庫で大規模な爆発が起きた。
北京の南東約160キロメートルにある天津港の2014年の貨物取扱量は世界4位を誇る。全体の貨物取扱量は前年比10%増の4億4580万トン。内訳は金属鉱物1億1050万トン、石炭8890万トン、原油1870万トン(日量37.5万バレル相当)である。
習近平政権は2015年に天津港を自由貿易試験区に指定するなど、中国経済の成長の起爆剤として大きな期待を寄せてきた。同地域には約800社の日本企業が拠点を構える。トヨタ自動車が天津工場の一時操業停止を決めるなど事故への影響が広がっており、今後大きな損失が発生することが懸念される。
天津市当局は「天津港は危険物を載せた船舶の通航は依然としてできない」としており、今回の爆発事故で原油タンカーなどの港への出入りは当分の間できなくなるだろう。
原油を受け入れられなくなる天津の備蓄基地
原油価格の動向をウオッチしている筆者は、天津港に中国の戦略的石油備蓄の拠点の1つが存在することに注目している。
中国政府は21世紀に入り、3期計画で備蓄原油の増強に努めてきている。第1期の基地として大連など4カ所で整備し、2008年末に建設作業は終了した。