中国の「QT」が引き起こす世界の金融バブル崩壊

原油市場が「強気相場入り」? しかし結果は三日天下に

2015.09.04(金) 藤 和彦
    http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/44709
  • 著者プロフィール&コラム概要

 一方、サウジアラビアは日量7万バレル減の1050万バレルで、2カ月連続で原油生産を減少させた。予算繰りが厳しい中で今後も減産を続けることができるだろうか。

 9月1日、イラン石油相は「OPECは他の産油国と調整して生産水準を決定する必要はない」との見解を示した。このように、OPECが一致団結して事態収拾に乗り出す雰囲気は醸成されておらず、懸案となっているOPECの緊急会合の開催の目途も立っていない。9月3日付ブルームバーグによれば、OPECは現在長期戦略報告書を作成中だが、その中に価格見通しを盛り込むことを主張しているイランに対し、サウジアラビアは除くよう強く求めており、調整が難航している。

 OPEC非加盟国の側も、OPECとともに減産に踏み切ると考えはないようだ。9月1日にロシア副首相は「政府として原油価格下支えのために減産するつもりはない」と発言した。

 ロシアでは、国内2位の石油会社ルクオイルの第2四半期の利益が原油安で10億ドルと前年比58%減少し、今年第2四半期のGDP成長率が前年比4.6%減となった。ロシアにとっても減産する余裕はまったくない。

 このような情勢を反映して、ペルシャ湾岸のOPEC加盟国関係者は「原油価格は年内1バレル=40~50ドルにとどまる」との見通しを示している(8月31日付ロイター)。

原油安でも増産する米国のシェール企業

 次に米国の原油生産だが、米エネルギー省によれば、6月の生産量は日量930万バレルをわずかに下回り、生産量のピークだった4月に比べて3%減少した。

 その中で、南部テキサス州の原油生産量が過去の推計から引き下げたため、「リグ稼働数の増加基調は終わりつつあり、シェールオイル企業の淘汰の圧力が高まっている」との懸念が生じている。

 (ただしこの結果は、米エネルギー省が原油生産の算定方法を“州当局のデータ”から“主要各州のシェール企業からのヒアリング結果”を基に推計するやり方に変更したことにより生じたものであり、市場関係者の間では「米エネルギー省の新データを完全に信頼するのは時期尚早である」との声も上がっている。)

2
スマートエネルギー情報局TOPに戻る
PR
PR
PR
バックナンバー一覧 »

POWERED BY

  • ソーシャルメディアの公式アカウントOPEN!
    TwitterFacebookページでも最新記事の情報などを配信していきます。「フォロー」・「いいね」をよろしくお願いします!
Twitter
RSS

 

経済産業研究所上席研究員。1960年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。通商産業省(現・経済産業省)入省後、エネルギー・通商・中小企業振興政策など各分野に携わる。2003年に内閣官房に出向(エコノミック・インテリジェンス担当)。2016年から現職。著書に『日露エネルギー同盟』『シェール革命の正体 ロシアの天然ガスが日本を救う』ほか多数。

オリジナル海外コラム

米国、欧州、中国、ロシア、中東など世界の政治経済情勢をリアルに、そして深く伝えるJBpressでしか読めないオリジナルコラム。

>>最新記事一覧へ