シェール革命の風雲児が危ない

OPECの増産、中国経済の変調─なお続く原油の供給過剰状態

2015.07.27(月) 藤 和彦
    http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/44381
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国連安保理、イラン核合意を正式承認 制裁解除への道開く

イランへの制裁解除でOPECはさらなる原油増産に? 米ニューヨークの国連本部で開かれた国連安保理の会合でイラン核開発をめぐる決議の採決を行う各国の代表ら(2015年7月20日撮影)。(c)AFP/JEWEL SAMAD〔AFPBB News

原油市場が再び弱気相場入りした。7月22日のWTI原油先物価格は、米エネルギー省が発表した週間石油在庫統計で「原油在庫が増加し、引き続き5年間の季節平均を上回った」ことが明らかになり、3カ月半ぶりに1バレル=50ドルを下回った。翌23日も4カ月ぶりに同48ドル台に続落した。

 7月17日、米資源開発サービス大手のベーカーヒューズが「米国の稼働中のリグ数が7基減少した」と発表したにもかかわらず、原油価格は反転しなかった。シェールオイル企業が少々減産したとしても石油輸出国機構(OPEC)の増産傾向が止まらない。これに中国需要への不安が加わり、世界的な供給過剰状態は一向に改善しないとの認識が広がり、原油価格の下押し圧力が高まっているためである。

サウジが主導するOPECの「暴走」

 このような状況下でも、OPEC加盟国関係者は、「今月に入っての原油価格の下落は短期的なもので、世界経済の成長で価格上昇が見込めるため、市場シェア確保のために生産量を高水準で維持するという機構の方針に変更はない」と述べた(7月22日付ロイター)という。

 筆者はかねてからOPECの見通しに対し違和感を抱いていたが、7月18日にバーレーンのエネルギー戦略研究所が発表した報告書の内容は衝撃的だった。その内容をかいつまんで言えば、「サウジアラビアは制裁解除後のイランの石油生産拡大を妨害するため、過剰な量の原油を世界市場に供給することで原油価格下落の要因を無理やり作り出そうとしている」というものである。この推測が正しいとすれば、サウジアラビア関係者がしきりに「来年の原油需要は拡大する」と強調している理由が分かるような気がする。

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経済産業研究所上席研究員。1960年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。通商産業省(現・経済産業省)入省後、エネルギー・通商・中小企業振興政策など各分野に携わる。2003年に内閣官房に出向(エコノミック・インテリジェンス担当)。2016年から現職。著書に『日露エネルギー同盟』『シェール革命の正体 ロシアの天然ガスが日本を救う』ほか多数。

エネルギー戦略

20世紀の社会を築き、支えてきた石油。しかし世界的な環境意識の高まりの中で、石油依存社会の限界が明らかになりつつある。石油はいまどうなっているのか。石油社会の次を築き、新世紀を切り開くイノベーションは何か。その最先端の姿をリポートする。

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