今週の1位は少し意外な結果だった。英エコノミスト誌の、それもロシア経済に関する「ロシア経済:思っている以上に切迫した危機」だった。ロシアに関してはエネルギー問題、中国との関係などこれまでにも面白い記事はいくつもあったが、週間で1位にはならなかった。
経済的に追い込まれたプーチン大統領
実際、この記事のタイトルにあるように思った以上に事態は切迫しているのかもしれない。
ランク外ではあるが、ウクライナ東部の軍事的危機をテーマにした「軍事で勝ち経済で負けつつあるロシア」も似たような指摘である。
クリミアとウクライナに対する軍事的な作戦は成功したかもしれないが、それによる代償は極めて大きなものだった。
それは直接的な経済制裁という形だけでなく、世界的な大きな環境変化もロシアにとっては打撃となっている。
その1つが6位に入った「原油安でも再生エネの方が安い、が世界の新常識」の指摘だろう。
1バレル70ドル台まで下がった原油価格だが、実はそこまで原油価格が下がっても世界中で利用が急拡大している再生エネルギーのコストは、原油や天然ガスを燃やして作る電力エネルギーのコストより安くなっているというのだ。
一方では米国などで生産拡大が続くシェールガス・オイルもある。エネルギーに依存しているロシア経済にとっては危機的な構造問題と言えるだろう。
ウクライナ東部は憎しみが憎しみを呼ぶ泥沼の状態になりつつあり、簡単には解決策が見つからない。
ロシアにとってはこの地域への経済援助も欠かせないことから負担は増えるばかりである。ウラジミール・プーチン大統領にとっては眠れない日が当面続きそうだ。
一方、経済制裁が思いのほか効果をもたらした米国にとってはプラスばかりかと言えばそうでもない。それを指摘しているのが20位の「経済制裁に強い副作用、揺らぎ始めたドル基軸通貨」である。
窮鼠猫を噛むの教えではないが、窮地に陥っているプーチン大統領は中国との連携を強めている。しかも、その連携の形が米国のアキレス腱を狙ったものだというのである。
万年赤字国である米国が強さを維持できている理由はドルが世界の基軸通貨であり続けていることが最大の理由と言える。ロシアは成長を続ける世界第2位の経済大国とこの点で連携を強めようとしているという。
中国が虎視眈眈と元の基軸通貨化を狙っていることは、「軍事より怖い、中国が世界一の金保有国になる日」の記事が指摘している通りだろう。
ウクライナを着火点とする世界の大激震が2015年に起きる可能性があることを私たち日本人も注意しておかなければならない。