中国人はいったい反日なのか親日なのか、正直言ってよく分からない。
数年前に中国で起きた反日デモで中国人の若者が暴徒化し、日系の工場やスーパーを破壊した。それをテレビなどで見ていると、中国人は反日的と思わざるを得ない。しかし、東京の銀座や秋葉原で買い物する中国人たちを見ると、決して反日的とは言えない。否、日本のアニメーションを好んで楽しむ中国の若者を見ていると、中国人は親日的とも思われる。これは高原明生・東京大学教授(中国政治が専門)が指摘する中国社会の多様性に起因するものであろう。
そして、中国人の心はとても移ろいやすく、流行に流されやすい。日本で韓流ブームが起きる前に、中国ではすでに韓国ドラマが流行していた。また、中国人は政治リーダーの一挙手一投足にも敏感である。中国人は独特なセンサーをもって政治指導者の真意を探ることができる。反日デモが起きたのも、若者が政府はデモを許してくれると察知したからである。
中国人は従順のように見えてズル賢い一面もある。これをもたらした要因の1つとして家庭環境を挙げることができる。一般的に核家族で育った子供は孤独に耐えることができ、単純である。一方、大家族で育った子供は人との接触を好み、人付き合いに長ける。現代の日本人は核家族で育ったものが多く、中国人は大家族で育っている。
日本の映画が後押しした中国の「改革開放」
40代以上の中国人は、みんなショックを受けたことだろう。あの「杜丘」が悪性リンパ腫により83歳でなくなったのだ。実に信じられないことだ。
杜丘とは、日本映画「君よ憤怒の河を渉れ」(日本での公開は1976年、中国での題名は「追捕」)で高倉健が演じた検事の名前である。
実は、中国の「改革開放」政策は、この1本の日本映画から始まったと言っても過言ではない。最高実力者だった鄧小平は35年前に国民に向かって「4つの近代化を実現せよ」と呼びかけた。4つの近代化とは、「農業、工業、科学技術、国防」の近代化である。