エジプト過激派組織、イスラム国指導者への忠誠を表明

シリア中部ホムス市内を装甲車で行進する「イスラム国」の戦闘員ら〔AFPBB News

 イスラム過激派組織「イスラム国」の伸張が止まらない。

 米国と、現在は16カ国に増えた有志連合軍は、この3カ月間でほぼ1000回に及ぶ空爆を行ってきたが、この数週間、イスラム国はシリア・イラクにまたがる地域を次々と制圧しており、現在はかなりの領域に勢力範囲を拡大している。

 最近では、イスラム国側は米国らが支援するシリア革命戦線を、彼らの拠点の1つ、イドリブから駆逐し、戦車など大量の武器を奪っている。また、戦闘のたびに、イスラム国側に寝返る兵も多いようだ*1

 11月13日には、空爆で死んだとも言われていたイスラム国最高指導者のアブ・バクル・アル=バグダディの音声メッセージがネット上に登場し、戦いを継続して領土をイエメン、サウジアラビア、エジプト、リビア、アルジェリアなどの新たな地へ拡大していくと宣言した。

 彼らの勢いは今のところ止まる様相を見せていないようだ。

「おめでとうございます。あなたの息子は殉教しました」

 欧州からも10代、20代の若者が続々とシリアに向かい、「ジハード(聖戦)」に参加している。昨年あたりから、スウェーデンでも「スウェーデン・ジハード主義者がアレッポの戦闘で死亡」「行方不明」といったニュースが報じられていたが、現在はこの頻度がかなり高くなってきた。

 スウェーデン国防大学の研究者によると、スウェーデンからジハードに向かう若者の平均年齢は21歳である*2。少女たちも少なからず参加している*3。様々な数字から推定すると、女子の数はざっと男子の1割弱のようだ。

 イスラム系移民の過激化プロセスを研究する英ロンドン大学キングスカレッジ過激化・政治暴力研究国際センター(ICSR)の推定では、イスラム国に結集する外国人戦闘員の18%は欧州から来ている。

 欧州諸国の中でシリア戦争に向かう市民の数が最も多い国は、人口比で比較するとベルギーが最多で、次いでデンマークだ。スウェーデンが第3位にランクしている*4。流入の動きは、6月に「カリフ国家」の樹立が宣言されてからいっそう極端になった。

 筆者が住む人口10万の中都市でも、シリアに向かった19歳と20歳の兄弟が、シリア西部ホムス郊外で亡くなった。上の息子は戦闘で死んだが、下の子は自爆攻撃だったという。この兄弟の父親がエクスプレッセン紙のインタビューに答えて、「下の子の歯の1本すらも残されていない」と悲痛に語っている*5

 この父親は、1度シリアまで出向いて息子たちを見つけ出し、説得してスウェーデンに連れ戻したのだが、その後、兄弟は再び現地に赴いたようだ。父親は突然、匿名の人物から電話を受け、こう言われたという。「おめでとうございます。あなたの息子ハッサンは殉教しました。彼は軍の前哨基地で自分自身を爆破しました」

 地元紙にも、「ショックすぎる」「彼らはスポーツ好きで、サッカーが上手だった」というクラスメートらの声が載っていた*6

*1http://news.yahoo.com/qaeda-drives-moderate-syria-rebels-northern-bastion-103515877.html

*2http://www.thelocal.se/20140924/fears-for-scandinavian-teenagers-joining

*3http://www.svd.se/nyheter/utrikes/oro-att-unga-svenska-kvinnor-dras-till-is_3954592.svd

*4http://www.gp.se/nyheter/goteborg/1.2444458-unga-goteborgare-krigar-i-syrien

*5http://www.expressen.se/nyheter/broderna-fran-boras-dog-i-kriget-i-syrien/

*6http://www.bt.se/nyheter/boras/broder-dodades-i-strid%283883719%29.gm