2010年7月11日の参院選では、民主党が惨敗を喫した。その一方で、みんなの党が10議席、比例区で民主、自民両党に次ぐ794万票を獲得し、「ねじれ国会」のキャスチングボートを握った。選挙後の時事通信の世論調査によると、「次期首相にふさわしい人物」の第1位にみんなの党の渡辺喜美代表が躍り出ている。

 果たして、みんなの党は政界再編の起爆剤となり、「政権奪取」に成功するのか。参院選のアジェンダ(政策課題)で掲げた「小さな政府」や「名目4%以上の経済成長」をいかに実現していくのか――。官僚バッシングの単なる批判政党ではなく、これからは「責任政党」として結果を出すことが求められる。

 JBpressは渡辺代表に単独インタビューを行い、その「政権奪取戦略」を(上)(下)に分けて紹介する。

 (上)の中で渡辺氏は、ねじれ国会で政策ごとにパートナーを組み替える「クロス・コアリション」(交差連合)を仕掛け、民主、自民両党を翻弄していく国会戦術を明らかにした。

 また、みんなの党は2011年春の統一地方選で全国ネットワークを築いた上で、次期衆院選では候補者100人以上を擁立。圧倒的な「第三極」に成長した上で、最終的に同党が選んだパートナーとともに政権を奪取する構想を表明した。(2010年7月22日取材 AFP提供以外は前田せいめい撮影)

【政権奪取戦略】(下)「名目4%成長で消費税据え置き」

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 JBpress みんなの党は10議席を獲得して躍進を遂げた。今回の参院選の結果をどう総括するか。

みんなの党代表・渡辺喜美氏/前田せいめい撮影渡辺 喜美氏(わたなべ・よしみ)
1952年栃木県出身 中学時代にプロ野球選手になる夢を諦め、政治家を志望 早大政経学部・中大法学部卒 83年父・渡辺美智雄元副総理の秘書となり、通産相・外相秘書官を歴任 美智雄氏の死去に伴い、96年自民党公認で衆院初当選 98年の金融国会で「政策新人類」として活躍 無派閥となり党執行部批判を展開 2006年安倍政権で行革担当相として入閣、公務員制度改革を推進 07年行革兼務の金融担当相 08年民主党提出の衆院解散要求決議案に賛成し、麻生政権に造反 09年1月自民党離党 8月みんなの党結成、代表就任

 渡辺喜美みんなの党代表 選挙当日は西日本で雨になり投票率が(58%まで)下がってしまい、大きな不安を感じていた。2009年8月の衆院選では投票率69%で約300万票(比例区)だったから・・・

 ところがフタを開けてみると、800万票近くも獲得できた。公明党の上を行き、議席も1つ余計いただいて嬉しかった。同時に、時間が経つにつれて責任の重さをひしひしと感じている。

 みんなの党の「コア」の支持者には、オピニオンリーダーが多い。「民主党に政権を任せたのにがっかりだ。やはり政治は誰がやっても同じか・・・」というニヒリズムに陥らず、みんなの党に期待を寄せてくれた。この期待に応えていかねばならない。もし我々がこけると、本当にニヒリズムが蔓延してしまう。そういう意味でも責任は重い。

 ━━ みんなの党は参院でキャスチングボートを握ったのに、民主党と連立を組まない理由は何か。日本新党や新党さきがけなど過去に躍進した新党は政権与党の一角を占めることで、存在感の発揮と政策の実現を目指したが。

 渡辺氏 民主党は「大きな政府」で官僚主導・増税路線。これに対し、みんなの党は「小さな政府」で民間主導・成長路線を突き進む。大きな違いが今回の選挙ではっきりした。アジェンダが違う政党と一緒にやることはないというのが、第1の理由だ。

JBpressが注目する日本の政治家30人「渡辺 喜美」