“資源大国日本”がリードする次世代繊維

豊かな森が生み出す最先端素材に先進国が熾烈な開発競争

2014.03.28(金) 藤原 秀樹
    http://goo.gl/P114dW
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 ところで、紙にせよ、木綿(セルロース主体)にせよ1本づつ繊維が見える。紙の繊維(化学パルプ)の場合、長さが数ミリ、幅が100分の1ミリ、すなわち数十マイクロメートルである。大体この大きさのレベルで木材の中に存在している。

 このセルロース繊維を取り出すことで、現在の紙(上質紙)は作られている。しかし、セルロースの基本単位はさらに小さいのである。

 セルロース繊維は目では見えない「セルロース結晶構造」の寄り集まりであり、その結晶構造の大きさはナノメートル(百万分の1ミリメートル)レベルである。これが、ナノ(百万分の1ミリ)クリスタリン(結晶の)セルロースである。

ナノセルロース分野で世界をリードする東大・京大の研究グループ

 このナノクリスタリンセルロースであるが、前述のとおり地球上に最も多く存在し、しかも軽くて強いという特徴を持つ。何しろ鉄の5分の1の軽さで、鉄の5倍以上の強度がある。

 この物質がなぜ今まで使われることがなかったかと言えば、取り出すことが難しかったからである。取り出すことが難しければ、コスト計算も難しい。この物質が今、コスト的にもそう高くなく取り出せそうになった。そこで、ナノクリスタリンセルロースを利用した応用研究が盛んになったわけである。

 ここで注意しなければいけないのは、結晶の形、すなわちナノクリスタリンセルロースで取り出すか、それとも、もう少し粗い形で取り出すか、という方法論である。

 後者の場合はセルロースナノファイバーと言われたりする。カナダのマクマスター大学のロバート・ペルトン教授によれば、ご飯(ナノクリスタリンセルロース)とスパゲッティ(セルロースナノファイバーまたはナノフィブリ化セルロース)に例えられるそうである。

ナノフィブリ化セルロースとナノクリスタリンセルロース
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藤原 秀樹 Hideki Fujiwara

 

カーボンニュートラル資源研究所 代表

慶応義塾大学工学部卒・同大学院修了後、十條製紙(現・日本製紙)入社。

米国・ウェスタンミシガン大学留学。工学博士。

日本製紙・取締役・研究開発本部長、関係会社役員を歴任。

TAPPIフェロー(米国紙パルプ技術協会名誉会員)、TAPPI 塗工部門技術賞 (アジア初)

東京大学大学院農学生命科学研究科・農学部・非常勤講師、タイ国アジア工科大学院・客員教授

米国紙パルプ技術協会・国際研究管理委員会 委員(副委員長)
マルクス・ヴァレンベリ賞(スウェーデン)選考委員会・アジア地区大使を経て、現在は選考委員会のシニアアドバイザー

エネルギー戦略

20世紀の社会を築き、支えてきた石油。しかし世界的な環境意識の高まりの中で、石油依存社会の限界が明らかになりつつある。石油はいまどうなっているのか。石油社会の次を築き、新世紀を切り開くイノベーションは何か。その最先端の姿をリポートする。

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