“資源大国日本”がリードする次世代繊維

豊かな森が生み出す最先端素材に先進国が熾烈な開発競争

2014.03.28(金) 藤原 秀樹
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日本をはじめ各国で応用開発が競われるナノセルロース

 2013年のヴァレンベリ賞は、「ナノクリスタリンセルロースの先駆的な研究」に対してカナダのマッククギル大学デレク・グレイ教授に贈られた(賞金約3000万円)。

デレク・グレイ教授(左)、カール16世グスタフ・スウェーデン国王(中)、マルクス・ヴァレンベリ氏(右)

 ナノクリスタリンセルロースとは、植物繊維であるセルロースを最小単位であるナノレベルにまで精製した物質である。軽くて強度があり、次世代の炭素繊維に代わる素材となる可能性があるため、今、各国(日本、カナダ、スウェーデン、フィンランド、米国)でその応用開発が競われている。

 このナノクリスタリンセルロースについて説明しておきたい。セルロースが木材繊維などの主成分であることは、ご存じの方も多いと思う。実は、地球上に存在する量が最も豊富な有機天然高分子でもある。

 セルロースは栄養分であるグルコースが、ベータ1-4結合した構造で成り立っている。ただし、人間は体の中にセルロースを分解する酵素であるセルラーゼを持っていないので、そのままでは栄養にならない。

 草食動物はセルラーゼを作る微生物が体内にいる。そのため、ヤギにとってはセルロースの紙は栄養(グルコース)となるのである。グルコースがアルファ1-4結合すれば、デンプンとなる。

 デンプンを分解してグルコースにする酵素はアミラーゼと呼ばれ、人間も持っている。おかげで、米、麦、芋など多くのデンプンを含む食品を栄養素として摂ることができる。

 このセルロースであるが、極めて安定な性質を持っている。和紙の寿命が長いのは、よく知られたところである(長いものでは1000年)。洋紙でも中性紙ならば、かなり持つだろう。

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藤原 秀樹 Hideki Fujiwara

 

カーボンニュートラル資源研究所 代表

慶応義塾大学工学部卒・同大学院修了後、十條製紙(現・日本製紙)入社。

米国・ウェスタンミシガン大学留学。工学博士。

日本製紙・取締役・研究開発本部長、関係会社役員を歴任。

TAPPIフェロー(米国紙パルプ技術協会名誉会員)、TAPPI 塗工部門技術賞 (アジア初)

東京大学大学院農学生命科学研究科・農学部・非常勤講師、タイ国アジア工科大学院・客員教授

米国紙パルプ技術協会・国際研究管理委員会 委員(副委員長)
マルクス・ヴァレンベリ賞(スウェーデン)選考委員会・アジア地区大使を経て、現在は選考委員会のシニアアドバイザー

エネルギー戦略

20世紀の社会を築き、支えてきた石油。しかし世界的な環境意識の高まりの中で、石油依存社会の限界が明らかになりつつある。石油はいまどうなっているのか。石油社会の次を築き、新世紀を切り開くイノベーションは何か。その最先端の姿をリポートする。

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