パッと見は西洋風のチョココロネ、
渦巻きの向こうに見えたのは饅頭だった

2014.02.14(Fri) 澁川 祐子
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 今回は、巻貝形の生地の中に、チョコレートクリームが入っているパンについて書こうと思う。昔懐かしいパン屋さんには必ずと言っていいほどある、あのユーモラスな形のパンである。

 だが、書き始めるにあたって、1つ困ったことが生じた。それは、「チョココロネ」と書くべきか、「チョココルネ」と書くべきかという表記の問題だ。

 どちらも耳にするが、どちらが正しいのだろうか。比較的最近に出版されたパンの紹介本で、どうなっているかを調べてみたところ、『焼きたてパンの図鑑 パンと過ごす素敵な時間』(主婦の友社編、主婦の友社、2008年)では、<チョココロネ>とある。一方、『知識ゼロからのパン入門』(日本パンコーディネーター協会監修、幻冬舎、2010年)を見ると、こちらは<チョココルネ>と紹介されている。

 どちらも一般に使われていて、特にどちらが正しいということでもなさそうだ。ただ、毎回「チョココロネ、あるいはチョココルネ」と書くのは面倒だし、分かりにくい。そこで、便宜上どちらにするかを決めるためにネットで検索したころ、「チョココロネ」の方が、「チョココルネ」の2倍以上もヒットした。

 というわけで、ぐだぐだと前置きが長くなってしまったが、とりあえずは世間の声に鑑みて、「チョココロネ」で進めていくことにする。

チョココロネ。菓子パンの定番として食べ続けられている。チョココルネとも。

「三大菓子パン」が揃ったのは明治30年代

 結論を先に言ってしまうと、チョココロネは日本で独自に生まれた菓子パンの1つだ。だが、その誕生については、あまりよく分かっていない。

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1974年、神奈川県生まれ。東京都立大学人文学部を卒業後、フリーのライターとして食や工芸・デザインを中心に、読むこと、食べること、暮らすことをテーマとしたインタビューやルポ、書評を執筆。『森正洋の言葉。デザインの言葉。』(ナガオカケンメイ監修、美術出版社)、『最高に美しいうつわ』(SML監修、エクスナレッジ)の取材構成ほか、近著に当連載をまとめた『ニッポン定番メニュー事始め』(彩流社)がある。


食の源流探訪

日本人が日常茶飯としている定番食。あまたある食べものの中で、
なぜそれが定番になり得たのか。どのように日本化されていったのか。
「新・日本食」の源流からの流れを、歴史をひもときながら考察する。