2013年末の安倍晋三首相による靖国参拝以降、アメリカのメディアの多くが首相の言動を中国との絡みで取り上げることが多くなっている。

 それらのメディアの(陳腐な)論評とは違い、東アジア情勢を専門にする軍事関係者の間では、安倍首相が“頑迷な保守主義者”であろうが“軍国主義者”であろうが、いずれにせよ東アジア軍事戦略は日米同盟を根幹とし続けるべきであるとの意識は揺るぎのないものである。

 そして、昨今の日本の軍備増強(まだまだ微増の段階にとどまってはいるが)や集団的自衛権の異常な解釈を国際常識に合致させようとの動きなどは、当然のことながら歓迎している。

 ただし、そのような日本の好ましい動向を打倒しかねない勢いで次から次へと繰り出される中国の軍事動向(本コラム 「米軍巡洋艦に中国揚陸艦が『突撃』、衝突も辞さない中国海軍の攻撃的方針」「想像以上のスピードで『近代化』している中国海軍」「南シナ海で中国監視船がベトナム漁船を襲撃」「核の次は『極超音速兵器』、次世代抑止力の獲得に中国が本腰」を参照)には、それらの軍事関係者も辟易しかねない状況になっている。

永興島に海警大型巡視船が常駐

 先週、中国海洋局は西沙諸島の永興島に大型巡視船を常駐させることを発表した。

 1974年に南ベトナム軍との軍事衝突の末に人民解放軍が占領して以来、中国が“実効支配”を続けている西沙諸島に対して、ベトナムと台湾が領有権を主張している。

 しかし、永興島には、西沙諸島・中沙諸島・南沙諸島を管轄する海南省三沙市市政機関である三沙市議事堂、2700メートル滑走路を擁し中国空軍や海軍の戦闘機や大型輸送機の発着も可能な永興島飛行場、5000トンクラスの艦船が係留可能な港湾施設、軍関係機関の病院、それに商業施設などが設置されていて、三沙市政府関係者、人民解放軍と武装警察隊の守備隊などが常駐している。そして、軍・政府関係者以外に漁業関係者も居住している。