2013年11月23日、中国は東シナ海上空に防空識別圏(ADIZ)を設定し日本・韓国・米国との間の緊張を一方的に高めた。引き続いて12月5日、南シナ海の公海上で中国海軍空母練習艦隊を監視中のアメリカ海軍駆逐艦に、中国海軍揚陸艦が衝突危険距離まで急迫するというニアミス事件を起こし、アメリカとの緊張関係を再度一方的に高めた。
そして2014年元旦には、南シナ海の広大な中国“領域”を直接管轄する海南省が、中国国内法である「中華人民共和国漁業法」を実施する、という新規則を施行した(海南省が新規則を制定したのは東シナ海上空ADIZ設定から1週間後の11月29日だった)。
スタンガンや警杖でベトナムの漁民を制圧
南シナ海の“中国領”である島々・環礁ならびにそれらの周辺海域を管轄する海南省政
府の規則という形で制定された「海南省による『中華人民共和国漁業法』実施方法」に
よると、「中国の支配権が及ぶ南シナ海の海域内で操業する外国人、外国漁船や調査船は、事前に中国当局(国務院関連機関)の承認を受けなければならない。許可なく操業した外国船は、漁業法や出入国管理法に照らした処置が課せられる」とされている。
このルールが適用される海域は、およそ350万平方キロメートルの南シナ海のうち200万平方キロメートル以上、すなわち南シナ海の60%程度の範囲に及ぶ。そして、外国人や外国船に対して課せられる処置としては、強制退去、収穫物の没収、漁船や装備品の没収、それに罰金(最高50万元)の課金などが含まれる。