2012年は自衛隊がPKOで初めてカンボジアに派遣されてから20年という節目の年にあたるため、本連載においても国際平和協力活動のこれまでを振り返る機会を作りたいと思っていた。

 そしてそれは、PKO協力法改正案が国会で審議されるタイミングで・・・と考えていたが、結局、同法案の今国会での提出は消費税増税法案の国会審議の障害となりかねないということで見送られてしまった。

他国の部隊を助けることができない自衛隊PKO

 今回の改正案のポイントはいわゆる「駆けつけ警護」を認めるかどうかであった。私は常々、不思議に思うのだが、この「駆けつけ警護」なる言葉の意味するところは、国民に正確に理解されているのだろうか。

 テレビディレクターをしている私の友人は、取材でハイチに行った際、「危なくなったら自衛隊が助けに来てくれるんだよね?」と気にしていたので、それはできないと教えてあげたら「自衛隊はひどい!」と怒っていた。

 「駆けつけ警護」とは、国連平和維持活動(PKO)活動中に国連職員やNGOなど非政府組織の民間人が宿営地外で襲われた場合も、自衛官が助けに行くことができるというものだ。

 もし、日本人の全てがこの中身を分かっていれば、到底、反対はできないのではないだろうか。自衛隊派遣は国連の定める枠組みとかけ離れているのだ。

 国連は、「要員を防護するための武器使用」(Aタイプ)や、「国連PKOの任務遂行に対する妨害を排除するための武器使用」(Bタイプ)を認めているものの、日本の「国際平和協力法」では、Aタイプの武器使用、しかも「自己や現場に所在する他の自衛隊員等」と、「自己の管理下にある者の防護のため」にしか武器の使用を認めていない。

 同じ国連PKOに参加している他国の部隊や隊員が攻撃された場合でも、駆けつけて必要に応じ武器を使用することは許されていないのだ。Bタイプに至っては、全く認められていない。