お名前を挙げれば多くの方がご存じの、とあるトップ・ビジネスプランナーの方にお話を伺ったときのことでした。

 話題の本線とは別に、「出世する人」には共通の特徴があるか(?)という質問を、同席していた編集者が彼にぶつけたのです。

 「まあ、そういうものはないですね・・・」という笑い話になったのですが、しばらく経ってから、ふと真顔になって「・・・そう言えば」と言われたことがありました。

 「・・・こういう人が出世する、というのは、ちょっと思いつかないけれど、いくつかの企業で、実際に伸びた人のプロファイルを調べてみると、ある共通の特徴があったというのはありましたね」

―――どういうことですか?

 「最初に配属された上司が特定の人だった、という人材が伸びているケースがある。人を伸ばす課長さんがいる、ということですよ」

・・・ざっとこんなやり取りがあり、大変興味深く思いました。

小さな習慣が大きな収穫を決定する

 これはつまり、こういうことです。A社という会社について20年、30年と発展の推移を追っていくと、大きな業績を上げた人が幾人かいる。

 各々、キャラクターも成し遂げた仕事も全く違うのだけれど、共通点として、会社に入って最初に付いた課長さん、あるいは係長かもしれません。何しろ「最初の上司」が同じ人だ、というのですね。

 これ、「常務派」とか「専務派」とか、派閥の人脈ということではないのです。もっと小さな、言ってみればつまらないことが大事だ、というのがポイントで、ビジネスの最初の礼儀作法、毎日の生活習慣を教えてくれた、いわば会社での「兄貴」「お父さん」によって、伸びる人材がつくられていくのかもしれない、という、そういう話になりました。

 名刺の出し方、もらった名刺の分類整理法、電話のかけ方、応対のちょっとしたこと・・・どうでもよさそうに見える、そんな小さな積み重ねの延長に、実は大きな差が開いてくる・・・そんな話になった記憶があります。