前回は、地方議員の日常の活動についてお話ししました。今回は地方での選挙の様子についてお話しします。

 私が横浜に出てきてから、地方議員選挙や国政選挙が何度もありました。佐賀にいた頃と比べると、ほとんど候補者の肉声を聞くことなく、選挙が終わってしまいました。

 横浜があまりにも広いということもありますが、私自身が東京で仕事をすることが多く、昼間は横浜にいない、というのが大きな理由です。公約のパンフレットすら見ることなく選挙が終わることがほとんどでした。

 結局、候補者が所属している政党と、投票所の近くに張ってある候補者のポスターを見て決めました。

大音量で候補者の名前が響き渡る田舎の選挙

 横浜市議会議員の選挙の時だけは、何度か候補者の姿を見かけました。JR山手駅の出口のところで、朝早くビラを撒いているのです。ハンドマイクを持って演説していたこともありましたが、音量がとても小さく、何を言っているのかよく聞き取れないほどです。通勤を急ぐ人が多いせいか、ビラはほとんど受け取ってもらえていませんでした。

 田舎の選挙では、ハンドマイクの音量も、選挙の街宣車のスピーカーの音量も、窓ガラスが震えるくらいの大音量です。そうでないと、田んぼの向こうで作業をしている人に、こちらの名前が聞こえないのです。都会でこんなことをすればクレームが殺到することでしょう。

 また、ある日、夜9時過ぎに山手駅に帰ってきた時に、帰宅する人に駅の出口で「お帰りなさい。ご苦労様でした」と声をかけながら、頭を下げて挨拶を繰り返している人がいました。市議会議員に立候補する予定の人でした。

 このようなスタイルも、私が佐賀で経験した田舎の選挙では見たことがありませんでした。都会の選挙は田舎より大変だなと思いました。

支持基盤の組織を固め、地域を固める

 しかし、このような表面上のスタイルの違いはありますが、選挙が日頃の活動で決まるという点はあまり差がないと思います。

 特に都会では投票率が地方よりも低いので、人数は少なくてもしっかり固まっている政党が有利になります。首長選挙と違って、地方議員選挙で当選するために必要な票数はそう多くはないので、その傾向は顕著です。限定された自分の支持基盤をしっかり固めておけば、当選が可能なのです。