9月22~23日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)の声明文は、景気の判断を一歩前進させて「景気底打ち」を宣言した。だがこれは、バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長による「現時点では景気後退が終わった可能性が高い」という15日の発言内容に沿ったもので、意外感はない。景気の個別項目についても、家計支出は「安定化しつつあるように見える」へと、判断を上方修正。

 企業による設備投資や雇用人員の削減継続に関しては、「より緩やかなペースで」という修飾が付加された。ほかにも表現の修正が声明文の各所で行われているが、米国経済がすでにリセッションを脱出したというのは市場でコンセンサスになっており、焦点は景気回復の動きが「本物」かどうか、すなわちその持続性や力強さに移行している。

 むしろ、米国経済のメインエンジンである家計支出(個人消費)を抑制する要因として、前回8月声明文と同様に、「雇用喪失、収入の伸び停滞、住宅の価値減少、タイトな信用」の4点がそのまま今回も列挙されたあたりに、FOMCが景気回復の持続力を引き続き心配している様子がうかがえる。

【景気全体の認識】
(前回8月12日声明文)
◇「6月FOMC以降に入手された情報は、経済活動が横ばいになっていることを示唆してい
る(Information received since the Federal Open Market Committee met in June suggests that economic activity is leveling out.)」

(今回9月23日声明文)
◆「8月FOMC以降に入手された情報は、厳しい落ち込みの後で、経済活動が上向いたことを示唆している(Information received since the Federal Open Market Committee met in August suggests that economic activity has picked up following its severe downturn.)」

【金融情勢の認識】
(前回 8月12日声明文)
◇「金融市場の状況はここ数週間、さらに改善した(Conditions in financial markets have improved further in recent weeks.)」

(今回9月23日声明文)
◆「金融市場の状況はさらに改善した。そして住宅セクターにおける活動は増大した(Conditions in financial markets have improved further, and activity in the housing sector has increased.)」

【物価の認識】
(前回8月12日声明文)
◇「エネルギーやその他の商品価格が最近上昇した。しかしながら、かなりの経済資源の需給の緩み(スラック)が、コスト上昇圧力を打ち消す可能性が高い。そして、インフレ率はしばらくの間沈静した状態が続くものと、FOMCは予想している(The prices of energy and other commodities have risen of late. However, substantial resource slack is likely to dampen cost pressures, and the Committee expects that inflation will remain subdued for some time.)」

(今回9月23日声明文)
◆「かなりの経済資源の需給の緩み(スラック)がコスト上昇圧力を打ち消す可能性が高いこと、および長期的なインフレ期待が安定していることからみて、インフレ率はしばらくの間沈静した状態が続くものと、FOMCは予想している(With substantial resource slack likely to continue to dampen cost pressures and with longer-term inflation expectations stable, the Committee expects that inflation will remain subdued for some time.)」