九州も梅雨が明け、暑い夏を迎えました。東京と違って、ここ九州は3月11日の大地震が「対岸の火事」であっただけに、多くのお店や公共交通機関は、半そでシャツでは肌寒いほどにクーラーを効かせています。
電力会社の言うように、本当に原発を再稼働しないと深刻な電力不足に陥るのか? まもなく、それが分かります。
さて、先日、佐賀県にある九州電力玄海原子力発電所の再稼働を巡って、国主催の説明会に、九州電力が組織ぐるみで原発再稼働「賛成」のメールを送るように仕向けたことが発覚し、大きな事件となりました。
しかし、このことは本当に大事な問題ではありません。九電のやらせメールがあろうがなかろうが、政府主催の説明会を開いて、そこにメールなどで意見を受け付けたとしても、「住民」の意見を聞いたことには決してならないからです。
再稼働に向けて、住民の意見をきちんと聞いていない。それが最大の問題点です。
大量のやらせ投稿を意見箱に入れた佐賀県庁職員
私が九電やらせメール事件の報道を聞いて思い出したのは、古川康知事がトップを務める佐賀県庁が、6年前に組織ぐるみで行った「やらせ市民意見投稿」の事件でした。
2005年8月、まだ私が佐賀市の市長をしていた時のことです。佐賀市の中心部にある県立病院を移転するかどうかについて、市民の意見を募集することになりました。
佐賀県庁は、県立病院の郊外への移転を強行しようとしていました。しかし私は、佐賀のような人口減少が始まった地域では、都市をコンパクトにしていかなければならないと確信していました。郊外に病院が移転したら、佐賀市の衰退に拍車がかかることは間違いなく、病院経営に悪影響が及ぶことも必至です。
そこで私は、佐賀市民の意見を募集することにしました。