写真提供:共同通信社

 モノづくりビジネスにおいて、世界的に主流になりつつある「オープンイノベーション」。ところが日本企業では依然、全てを自社で行う「自前主義」から脱却できずに商機を逃すケースが多く見られる。本連載では『学びあうオープンイノベーション 新しいビジネスを導く「テクノロジー・コラボ術」』(古庄宏臣・川崎真一著/日経BP 日本経済新聞出版)から、内容の一部を抜粋・再編集し、オープンイノベーションを円滑に進めるために心がけるべき他社との「コラボ術」について解説する。

 今回は、コンビニ淹れたてコーヒー「セブンカフェ」誕生に至るまで、セブン-イレブンが経験した4度の失敗と、5度目の挑戦を成功させた背景に迫る。

本稿は「Japan Innovation Review」が過去に掲載した人気記事の再配信です。(初出:2024年6月25日)※内容は掲載当時のもの

 下図は、日本国内のコーヒー消費量の推移です。併せて、日本の人口推移も示しました。

 日本の人口は2011年頃をピークに減少していますが、コーヒーの消費量は1996年頃から拡大し、2007年以降にいったん鈍化したものの、2013年頃から再び拡大しています。

 その背景には、まず1996年にスターバックスが日本に上陸し、1997年にはタリーズコーヒーが出てくるなど、コーヒーショップの革新がありました。加えて、各飲料メーカーの工夫による数々のイノベーションがあり、2015年には米国のブルーボトルコーヒーが上陸して「サードウェーブ」を巻き起こした影響もあります。サードウェーブとは、ブレンドでない浅煎りのシングルオリジンコーヒーが流行した現象を指します。

 こうした各社の努力により、日本のコーヒー市場は人口減少という逆風に逆らって成長してきたのです。

 コーヒー市場の拡大に起因したイノベーションの一つと考えられるのが、コンビニエンスストアのヒット商品「コンビニ淹れたてコーヒー」です。最初に始めたのはセブン-イレブンで、2013年のことでした。市場拡大の立役者の一人と言えるのではないでしょうか。

 実は、コンビニ淹れたてコーヒーの開発は5度目の挑戦でようやく成就したもので、そこに至るまではイバラの道のりだったそうです。