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 1990年代半ばから2010年代序盤にかけて生まれた「Z世代」。自己実現やワークライフバランスを重視する「新しい価値観」を持つとされ、唐突に離職する場合もあることから、マネジメントに苦慮する企業は少なくない。こうした現状に対し、有効な対策はあるのか。本連載では、『Z世代の社員マネジメント 深層心理を捉えて心離れを抑止するメソドロジー』(小栗隆志著/日経BP 日本経済新聞出版)から、内容の一部を抜粋・再編集。のべ45万人のデータから定量的に捉えたZ世代の特徴をベースに、「働く人間の心理」に着目したZ世代のマネジメント法を解説する。

 第4回は、入社1~3年目の新入社員を離職させないためのマネジメントの要点を解説する。

成功体験を重ねるための3つのアプローチ法

Z世代の社員マネジメント』(日本経済新聞出版)

 入社1~3年目のスタートアップ期にある新入社員は、慣れない環境の中で必死にもがき、苦しんでいる。この時期を乗り越えるためには、組織人格で役割を演じることによって成功体験を重ねるプロセスが必要だ。

「できた」→「褒められた」→「面白い」という体験を繰り返すことで、スタートアップ期の悩みや苦しさが和らいでいくだろう。

 筆者は、この体験を「Meaning」「Value」「Power」の頭文字を取って「MVP体験」と呼んでいる。「MVP」というと、華々しい成果を上げなければならないように聞こえるかもしれないが、ここでいう「MVP」は「自分で自分を褒めたくなるような成功体験」と捉えていただきたい。スタートアップ期の新入社員に、MVP体験を重ねてもらうための3つのアプローチ方法について解説していこう。

アプローチ①:仕事をスモールステップにする

 まずは、「できた」という実感を持ってもらうことが重要だ。そのためには、目指す目標は高く設定したとしても、目の前にある仕事のハードルを上げ過ぎてはいけない。「小さな仕事を任せて、やりきったら褒める」を繰り返していこう。