アプローチ③:仕事に意義付けをする
仕事ができて褒められた後は、「面白い」と思ってもらうことが重要になる。そのためには、新入社員が仕事に意義を見いだせるように導いていかなければならない。
「意味のない作業を延々とやらされることで心が折れる」ということは、数多くの心理実験によって明らかになっている。仕事に意義を見いだす重要性については、「3人のレンガ職人」という話が人材育成の領域では一般的に知られている。
3人のレンガ職人に「何をしているのか?」と尋ねると、1人目は「石を積んでいる」と答え、2人目は「教会をつくっている」と答え、3人目は「地域の人々を幸せにする場所をつくっている」と答えた。それぞれ、1人目は「行動」、2人目は「目的」、3人目は「意義」を答えていることが分かるだろう。3人目のレンガ職人のように意義を理解している人ほど、やりがいを感じながら、主体的に仕事に取り組むことができる。
マネジャーとしては、例えば「この仕事は地味に見えるけど、会社を大きなリスクから守っているんだよ」「これを実現できると、社会にこういう価値を提供できるよね」などと伝え、仕事に意義付けをしてあげることが重要だ。
そして、それ以上に大切なのが、そう言っているマネジャー自身が仕事の面白さを実感し、それを体現していることだ。これはZ世代に限らず普遍的に大切なことだと筆者は思っている。筆者が新人の頃も、直属の上司はことあるごとに「この仕事って本当に面白いよなぁ」と嬉しそうに語りかけてくれていた。
どちらかというと斜に構え気味だった筆者は心の中で、「仕事なのだから面白いどうこうよりも成果が大切でしょう」と思っていたが、あまりにもピュアな表情で語りかけ続けてくれたおかげで、自分の中で組織人格として演技することそのものに対して面白みを感じることができるようになった。どんなに表面的に仕事に意義付けをしても、上司が心の中でつまらないと感じている仕事をやらされている部下が、その仕事に意義を見いだせるはずもないであろう。
<連載ラインアップ>
■第1回 SNS世代が陥りやすいキャリアの「正解探し」の罠、脱却を支援する際のポイントとは?
■第2回 「正解探し」から「正解創り」へ、Z世代のキャリアづくりに役立つマインドセットとは?
■第3回 早期離職がもたらす「6つの弊害」と若手社員の退職を防ぐ「We感覚」とは?
■第4回 新入社員の「突然の離職」を防ぐためのマネジメントのポイントとは?(本稿)
■第5回 アサヒ飲料が導入した「2年目リフレクション研修」、その狙いと内容とは?(12月5日公開)
■第6回 鹿島建設が入社3~5年目に実施した「アイカンパニー研修」とは?(12月12日公開)
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