これを繰り返すためには、仕事を細分化するタスクマネジメントと、即時にフィードバックを行う仕組みづくりが必要になる。特に、Z世代は、調整型で承認を求める傾向にあるため、「今やっていることって、これで合っているのかな?」「このまま進めて大丈夫かな?」というように、リアルタイムのフィードバックを求める人も増えている。それゆえ、こまめで丁寧なフィードバックは重要だ。
加えて、マネジャーには新入社員の力量を客観的に評価する眼力が求められる。新入社員が徐々に仕事をできるようになってきたら、力量に合わせて少しずつ仕事のハードルを上げていきたい。経験が浅いマネジャーは、このさじ加減が粗くなりがちなので注意が必要だ。
このようなアプローチは、人によっては、「軟弱」「甘やかし」だと映るかもしれない。しかし、根性論が通用する時代はとうに終わった。崖から落とし、必死に這い上がらせることで成長を促すようなマネジメントは、リスキーだと言わざるを得ない。
三日坊主の人に習慣を身に付けさせる際も、小さな習慣から始めた方が効果的だ。「1日1ページ本を読む」「1日1カ所を片付ける」など、簡単にできる行動から始め、徐々にレベルを引き上げていくことで習慣は形成されていく。これは脳科学でも証明されている習慣づくりのコツである。
人間は、もともと今のままでありたいという心理学的な現状維持バイアスが働いている。新しく取り入れようと思った習慣がすぐに挫折する理由は、この現状維持バイアスの重力に引っ張られるからである。そのバイアスを打破する方法が、この小さな習慣だ。習慣というのは重力に逆らって、ロケットを宇宙空間に飛ばすようなものである。ロケットを大きくしてしまうと、その分現状維持の重力が重たくなる。だから、最初のスタートにおいては、「1日1回元気よく挨拶する」など極力簡単な習慣からスタートすることが効果的である。
筆者自身も、三日坊主の権化(ごんげ)のような人間であったが、この手法を取り入れることで体重は20キロ減少し、資格も20個以上取得することができ、100キロマラソンで10時間を切ることができるようになった。