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 1990年代半ばから2010年代序盤にかけて生まれた「Z世代」。自己実現やワークライフバランスを重視する「新しい価値観」を持つとされ、唐突に離職する場合もあることから、マネジメントに苦慮する企業は少なくない。こうした現状に対し、有効な対策はあるのか。本連載では、『Z世代の社員マネジメント 深層心理を捉えて心離れを抑止するメソドロジー』(小栗隆志著/日経BP 日本経済新聞出版)から、内容の一部を抜粋・再編集。のべ45万人のデータから定量的に捉えたZ世代の特徴をベースに、「働く人間の心理」に着目したZ世代のマネジメント法を解説する。

 第5回は、アサヒ飲料が導入したオンボーディング、「2年目リフレクション研修」の中身と成果を紹介する。

企業実例_スタートアップ期
アサヒ飲料株式会社:自分でモチベーションを立て直す技術を身に付ける2年目リフレクション研修

Z世代の社員マネジメント』(日本経済新聞出版)

 アサヒ飲料株式会社は、アサヒグループホールディングスの清涼飲料水部門の子会社で1972年に創業した。

「三ツ矢サイダー」「カルピス」「十六茶」「WONDA」などのロングセラーブランドを数多く生み出し、業界3位に躍進。

 ロングセラーブランドに磨きをかけるとともに、新たな価値を創出することで存在感があり、最も信頼される企業を目指している。

 しかしながら、人口減少が進む国内市場は今後、シュリンクしていくことは想像に難くない。同社が現在のポジションにいるのは、ロングセラーブランドの人気によるところが大きい。飲料の世界は、マーケティング次第で短期的に売上を伸ばすことはできても、ロングセラーにするのは極めて難しい。

 その意味で、数多くのロングセラーブランドを持っていることは、同社の大きな強みになっている。「朝専用」という時間軸をコンセプトにした「ワンダモーニングショット」が「朝に缶コーヒーを飲む」という文化を定着させたように、文化になる飲み物を生み出すことができる会社だといえるだろう。