経理業務を煩雑にするレシートや請求書の束。そのペーパーレス化は、物理的スペースの解放やエコを意味するだけではない。紙書類のデータ化によるメリットや課題、成功のポイントは何か。会計証憑(しょうひょう)の完全ペーパーレス化を実現した明治の取り組みを、同社グループDX戦略部の河合利英氏が語る。
※本稿は、Japan Innovation Review主催の「第8回 ファイナンス・イノベーション」における「特別講演:年間54万枚の紙削減!明治が実現した会計証憑の完全ペーパーレス化事例/河合利英氏」(2024年7月に配信)をもとに制作しています。
ペーパーレス化の狙いは労働生産性の大幅な向上
食品事業を柱に、医薬品・ワクチンの開発にも力を入れる明治ホールディングス。同社の「会計完全ペーパーレス化プロジェクト」は、承認業務を現場ごとに行っていた分散型の時代から、経理センターの設置による業務集約化(2019年時点での人員は100名強)を経て、2020年にスタートした。
その狙いについて、プロジェクトの主要メンバーである河合利英氏はこう振り返る。「これまでの経理規定やルールを見直し、ITの活用や紙書類のデジタル化を推進して、経理業務の労働生産性を3倍程度に大きく向上させることが目的でした」。