一方、店内飲食できるイートインも増えており、売り場スペースが減少するデメリットはあるが、「休憩スペースが欲しい」との高齢者の要求を取り込める利点がある。
人口密度が低く、代替店が少ない土地であるだけに、それらの客を取り込める利点は大きい。
第四は、会員カード、ポイント制の徹底である。セイコーマートは、他の全国チェーンに先駆けてポイントカード制を導入したパイオニア的小売業である。2000年に導入して以降、カード会員数を着実に増やしており、その会員数は551万人。
筆者も、チェーン店を訪問したが、精算の際に「会員ですか、でなければ今度から入ってください」と勧誘に熱心であった。こうした販売対応により、あらかじめ約半分の顧客がレジでカードを提示するという。
会員情報は、購買行動を分析するのに役立っており、データの分析では、単品アイテムの販売動向を性別や年代といったタイプごとに把握し、マーケティングへの活用度は高い。このように会員カードの普及率は高く、顧客の囲い込みが積極的に行われている。
第五は、店内での生鮮食料品、生活用品、お菓子、アイスクリームなど、実にたくさんの品が揃っており、その多くが現地調達の商品で、惣菜が1品100~200円の廉価で販売されていることである。セイコーマートの利用者の3割が「価格の安いこと」を評価しており、「お気に入りのPB商品がある」を評価した利用者も2割程度いる。
両者の評価、ここに大手との差別化戦略をみる。「PBだらけの売り場」に映らないようなパッケージの工夫もみられ、セイコーマートでは、店舗売上点数の約5割をオリジナル商品が占めている。
セコマのPBの多くは、北海道の所得水準を考えた価格に設定されており、こうした低価格は、生産、仕入れなど企業活動の内部化によって支えられているといえよう。
なお、生鮮品の現地調達のほか、ビール、ワインなどの酒類、清涼飲料水の海外直輸入も特徴であった。だが、2004年以降は地域貢献の趣旨のもと、その比重を低下させ、北海道産に切り替えていき、販売については、2004年以降は、北海道以外の関東を含む地域での外販にも力を入れていく。
第六は、過疎地や買い物弱者を視野に入れた地方自治体や公共団体との連携である。2014年以降、初山別村、滝川市、紋別市などの要請を受け、コミュニティ・スペース、バス施設の設置を含めた地域密着型の出店を行っている。
<連載ラインアップ>
■第1回 人口減少、経済停滞が続く日本で、なぜコンビニ業界は健闘し続けられるのか
■第2回 セブン-イレブン、ローソン、ファミリーマート…各社の戦略に見る特徴と課題とは?
■第3回 セブン-イレブンの店舗では、なぜ必要なタイミングで必要な量の商品が適切に並ぶのか?
■第4回 コスト削減・低価格が目的ではない、セブン-イレブンが掲げる独自のPB戦略とは?
■第5回 ローソン、ファミリーマートがセブン-イレブンを追撃、大手3強時代はいかにして訪れたか?
■第6回 大手コンビニもかなわない、北海道で絶大な支持を誇る「セイコーマート」の人気の秘密とは?(本稿)
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