第二に、早くから物流システムの効率化に努めている。現在、セコマは北海道内に主要な物流拠点を20カ所近く、関東に3カ所をおいて、フローズン、チルド、ドライの3温度に対応できる物流ネットワークを構築している。
セコマは物流拠点の設置と運営および物流活動を内部化しており、それだけに柔軟性を有し、効率性を発揮している。店内調理品の食材は、工場でカットした食材を各店舗を結ぶ配送網で他のグループの商品と一緒に配送し、物流コストを削減している。
物流効率化のための継続的投資も行っており、冷凍物流事業の統合、複数の冷凍センターの稼働、自社所有のトラックでの操業、3温度帯のフルライン物流を達成している。配送にあたっては、市販の情報ソフトをカスタマイズさせ、最適な配送・回収ルートを探索するシステムを構築している。
また、主要な物流拠点では在庫を常時把握し、充当する商品を自動発注できるシステムを稼働させている。温度については、本部が一元的管理を行い、食品のロス削減にもつながっている。
第三に、流通取引の一体化で、製造・物流・卸・小売りの協力である。セコマは、流通取引を簡素化し、卸物流をM&Aによって統合することで、取引コストの削減、過剰在庫の削減に努めている。大手コンビニは、必ずしも統合によらず、提携、共同組合化によって効率化を達成している。
セイコーマートは、垂直的統合のM&Aを推進しており、北海道の伝統的メーカーが商品ごとに多くみられる。セコマは、これによって、安定的供給と弾力的運営を達成してきた。2014年時点で、直営化比率は約7割に達している。
一方、大手コンビニとの相違点もみられる。
第一は、販売エリアの限定と制限である。北海道を中心とし、関東は埼玉・茨城県の一部地域などに限定することで、鮮度がいい現地の生鮮食料品の納入に努め、地域密着を高めている。また、北海道の過疎地への出店を行っており、過疎地での利便性を高めている。
第二は、外部メーカー、外部販売への委託を行わず、自社で製販一体の直営方式をとることにより柔軟にコントロールできる体制が備わり、廉価で販売できる利点となっている。 第三は、独自戦略ともいえる店頭調理の「ホットシェフ」の提供である。ホットシェフの主要顧客は、来店の7割を占める男性である。ホットシェフの売り上げの粗利益率は高く、設備を有する店舗は増加傾向を辿っている。