森:ありがとうございます。この法律が成立することで、何人くらいのCLOが誕生すると見込まれますか。

中野:対象となる企業は3000社くらいと見込んでおり、3000人くらいですね。

森:法的にCLOに求めることは、目標などを作成し、報告するということでしょうか。

中野:CLOに求められているのは、自社の物流全体を管理・統括すること、と法律上はなっています。事実上、計画の策定や国に対する報告の責任は、一義的にCLOが前面に立つ感じになるでしょう。

 場合によっては、今話題の「トラックGメン」で国から勧告を受けたりすると、会社の名前が公表されるわけですが、会社の代表は社長であっても、世間の目はCLOに向くでしょうね。その意味では、CLOの責任は重いし、それに伴って社内での地位もそれなりに高くなるんじゃないでしょうか。

森:今いわれた「トラックGメン」は、もう動いていますよね。

中野:動いています。

森:CLOはまだ任命されていませんが、会社に対してはすでにいろいろやられているわけですね。

中野:はい、2024年に入り勧告はすでに2社に対して出されています。

森:そうすると、今は経営者に目が向けられていますが、今後、そういう目が向くのはCLOということになるのですね。

中野:そうなるでしょうね。「あそこの物流は何をやっているんだ」「CLOは出て来い」となりますよね。

森:その意味では、法律で定めること以外にも大きな責任があるわけですね。

中野:法律は「物流を全部統括する人間を選任しろ」と書いてあるくらいですが、おそらく法律に書いてある以上の大きな効果が出てくるでしょう。今回の改正物流効率化法が施行されると、特定事業者のうち、例えば荷待ち・荷役の時間が長すぎるなど、物流に対する悪影響が大きいような会社に対して勧告や命令を出せることになっています。

 勧告された会社の名前は公表することになります。また、設置の義務が課されるのは特定事業者に限られますが、全事業者にCLOの設置が推奨はされると思います。

 もちろん、中小零細の会社もあるので、いちいち義務にはしませんが、ただ、「物流がわかる人がちゃんといてくださいね」という意味では、法律上の厳密な義務ではありませんが、設置が推奨されると思います。

<連載ラインアップ>
■第1回 経済産業省・物流企画室長の中野剛志氏に聞く CLO設置の目的や選任者が果たすべき役割とは?(本稿)
■第2回 経済産業省・物流企画室長の中野剛志氏に聞く CLO誕生で進むサプライチェーンの「手の内化」とは?(10月21日)
■第3回 経済産業省・物流企画室長の中野剛志氏に聞く CLOを起点として期待される企業間の「水平連携」とは?(10月28日)

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