森:CLOの設置が義務づけられるのは、すべての会社ではありませんね。どういう会社が対象になるのでしょうか。

中野:法律上の設置の義務を課されるのはすべての会社ではなく、法律が成立した後の施行の段階で決まってきます。努力義務は全事業者に課されますが、努力義務にとどまらない物流統括管理者の設置等の法的義務のほうは、国が指定する「特定事業者」と呼ばれる、比較的大規模な企業に課されます。

 その規模の基準は、荷主であれば扱っている物資のうち一定条件を満たすものの年間の合計重量、その基準をどこにするかは、施行の段階であらためて決めていきます。大雑把にいえば、比較的大手の企業が、CLOの設置を義務づけられます。

 法律上は、特定事業者は一定期間の物流改善のための計画を策定して国に提出し、毎年度の自社の物流の状況を国に報告するといった義務になります。そうした中長期計画の策定や報告の提出という行為の一義的な責任は、事実上、CLOが負うことになると思いますので、その責任は重いといえますね。

森:なるほど。では、法律が今国会で成立すると、いつから実施となりますか?

中野:細かく分かれていて、本体部門、いわゆる全事業者への努力義務等の措置は、法律の公布後1年以内の施行となります。その1年以内の間に特定事業者の基準を決めたり、荷主企業が守るべき判断基準を策定したりするという流れになります。

森:そうすると、CLOを任命するのはいつからになるでしょうか?

中野:特定事業者の基準が法律の公布後1年以内に決まり、その後、各事業者が年間の重量を計測し、それを踏まえて特定事業者が指定されてからになりますので、その意味では全事業者への努力義務が課されてから、さらに1年先になるというイメージです。

森:すると、2026年というイメージでしょうか?

中野:そうですね。うちの会社は特定事業者になるとわかってくるのが2026年からで、その際に指定されたりということになると思います。