2024年4月22日にTポイントと三井住友カードのVポイントが統合した「新生Vポイント」のサービスを開始、その3日後にはTSUTAYAの旗艦店である「SHIBUYA TSUTAYA」をリニューアルオープンさせるなど、次々と新たなプロジェクトを仕掛けているカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)。髙橋誉則代表取締役社長兼CEOに、こうしたチャレンジの狙いと同社が思い描く将来像について話を聞いた。(前編/全2回)
<ラインアップ>
【前編】新生Vポイント、旗艦店リニューアル…新プロジェクトを次々に仕掛けるカルチュア・コンビニエンス・クラブの狙い(本稿)
【後編】「人づくりこそが最大のミッション」カルチュア・コンビニエンス・クラブ社長が描く“知的資本カンパニー”実現の秘策
異例のスピードで決まった三井住友カードとの提携
――新しいVポイントのサービスがスタートしましたが、その狙いは何ですか。また、なぜパートナーに三井住友カードを選んだのでしょうか。
髙橋誉則氏(以下、敬称略) Tポイントは業界横断で共通ポイントを使えるという先鋭的なサービスでしたが、スタートから20年がたち、さまざまな領域から参入が増えて競争が激しくなってきました。
その中で他社と比べて弱かったのが、決済の領域です。そこをいかに強化していくかが重要なテーマでした。自社で頑張れないところは外部とのパートナーシップで事業を再生していくのが私の基本方針なのですが、必要なピースとして三井住友カードが持つ決済基盤がぴったりとハマりました。
――提携の話はどのような経緯で進んだのでしょうか。
髙橋 最初に三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)の太田純前社長(2023年11月に逝去)や三井住友カードの大西幸彦社長と30分ほどお話する機会があり、そこで「ポイントビジネスで何かやりませんか?」という話が出てきました。そして、2回目にお会いした際にはかなり突っ込んだ話になり、それから1カ月後には基本合意に至りました。
それだけのスピード感で話を進めることができたのは、われわれとSMBC(三井住友銀行)グループの思想が非常に近かったことが背景にあります。
他の多くのポイントサービスが自社サービスに付加価値をつけることによって、いわゆる“経済圏”を構築するのが目的であるのに対し、Tポイントのサービスは、世の中のさまざまな事業をインフラとして応援していくスタンスで始まりました。決して、TSUTAYAのためにTポイントを始めたわけではないのです。SMBCグループも同じ考えで、方向性が一致していたことが大きかったと思います。