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「職場がゆるくて、成長実感がないから辞めます」。これまでの育て方が通用せず、会社を離れようとする若手社員に、上司はどう向き合えばいいのか?本連載は、リクルートワークス研究所の主任研究員が、独自調査を通じてZ世代の実像に迫り、効果的な育成ポイントを解説したなぜ「若手を育てる」のは今、こんなに難しいのか』(古屋星斗著/日本経済新聞出版)から、内容の一部を抜粋・再編集。若手社員の定着・育成のヒントを探る。

 第3回は、若手社員の育成が「うまくいっている」と感じているマネジャーに見られるコミュニケーションの特徴について解説する。

<連載ラインアップ>
第1回 超大手企業の花形部門で働く20代社員が発した「離れ小島」の意味とは?
第2回 総合電機メーカー入社3年目の若手が、副業先の地方企業で得た手ごたえとは?
■第3回 調査で判明、育成上手のマネジャーになるための「黄金ルート」とは?(本稿)
第4回 マネジャー歴10年、大手企業社員が気づいた、若手育成の重要なヒントとは?
第5回 若手に「小さな行動」を促すのが上手いマネジャーの「口癖」とは?


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③褒めるだけでなくフィードバックする

 調査では、部下の若手を週に1回以上「褒めたりたたえたり」するマネジャーは67%に達していたが、それと比べて週に1回以上「フィードバックや指導をしている」マネジャーは同48%と限定的であった。 

 つまり、「たくさん若手を褒めたりたたえたりしているが、フィードバックや指導はあまりしていない」マネジャーが存在している。

 図表7―11に整理している。実に、フィードバックや指導が低頻度(月に1回程度以下)で、褒めたりたたえたりが高頻度(週に1回程度以上)のマネジャーが全体の30・4%存在していた。

 若手の部下とのコミュニケーション量という観点で、多くなれば褒めたりたたえたりもフィードバックや指導も増えるだろうから、両方低頻度(23・7%)、または両方高頻度(36・3%)が比較的多数存在しているだろうというのは予想がつくが、若手に「褒めたりたたえたり」だけが多いマネジャーがこれほど多いのは予想外だった。

 逆に、「フィードバックや指導」だけが多いマネジャーは少数派(9・6%)であった。もはや、“厳しい、師のような上司が最後の最後で褒めてくれたことに、若手がガッツポーズする”といった、漫画やドラマなどでありがちなシーンは日本の職場では希少なのだろう(正直、少し寂しい気もする)。

 そのスタイルの違いが若手育成の成功実感と関係している。

 育成成功実感率では、「両方高頻度」が22・1%とやはり最も高く、「両方低頻度」が9・0%と著しく低いが、「フィードバック低×褒める高」では14・3%と、「両方高頻度」と比べると大きな差がついている(1%水準で有意な差)。もちろん、褒めないよりは褒めた方がいいが、それだけでは十分ではない。若手育成の成功率で言えば、褒めるだけのマネジャー(14・3%)より、フィードバックや指導だけ(16・4%)のマネジャーの方が高いのだ。