すかいらーくレストランツ 営業政策・人事チームリーダーの北島 正慶氏(撮影:宮崎 訓幸)

 ガストやバーミヤン、しゃぶ葉、ジョナサン・・・すかいらーくグループのファミリーレストランで配膳業務を行うのは、猫型ロボットの「ベラボット」(BellaBot)だ。20021年8月の導入以来、現在は全国約2100店舗で約3000台が稼働するまでになり、もはやすっかり“見慣れた”光景となった。なぜ、すかいらーくレストランツはベラボットの導入を決めたのか、「人間とロボットの協業」のカギは、どこにあるのか。同社営業政策・チームリーダーの北島正慶氏に聞いた。

ロボット導入で「退店後の片付け時間35%減」「歩行量4割減」

――ベラボットによる配膳は、もう珍しい光景ではなくなりました。そもそも、なぜ導入を決めたのでしょう。

北島 正慶/すかいらーくレストランツ 営業政策・人事チームリーダー

1996年入社。店舗マネジャーを経て、新店の立ち上げ担当、エリアマネジャー、人事・教育担当、営業推進、機器開発チームのリーダー、営業部長など歴任し、昨年から現職。 お客様と距離が近い現場で長年培った経験をもとに、顧客体験を高めること、従業員の働きやすい環境づくりに邁進し時代とともに変化するニーズに対応したサービス改革を進める。

北島正慶氏(以下、敬称略) ベラボットを導入した理由は、「顧客満足度を高めたかったから」に尽きます。お客様の趣味趣向の多様化に伴い、外食チェーンも変化を迫られています。そうした中で、当社としては、顧客満足度を高め、「また来たい」と思ってもらえるお店づくりをしなければなりません。それは、メニューの味・満足度の向上はもちろん、接客面においても同様です。

 そう考えた時に、当社に寄せられる声として多かったのが、「入店時に待たされた経験がある」「注文を頼んでから店員が来るまでに時間がかかる」というもの。後者に関しては、デジタルメニューを導入することで改善を図っていますが、それだけでは充分ではありません。

 この2つの課題の根本原因は「店舗オペレーションの複雑化」という事象に尽きます。現在は外国人や高齢者の従業員も増えています。そうした中では、従業員が働きやすい現場を整備しなければなりません。

 飲食店の仕事はとても単純なように見えて実はそんなことはありません。ホールで働く従業員の仕事だけでも、入り口でお客様をお迎えして、注文を受け、配膳して、食器を下げ、会計もする、という一連の業務を、同時並行でこなさなければならないのです。

 そこで、「配膳」をロボットに置き換えることで、スムーズな入店と、お客様のお困りごとの解決を実現しようと考えたのです。

――なぜ、配膳業務を置き換えたのでしょう。

北島 やはり、配膳業務が一番のペインポイントになっているというのは、社内全体で共有していたことでした。先ほどの、よくいただく2つの課題は、配膳に時間を取られているからこそ、発生します。熱々のハンバーグをお客様のテーブルに運んでいるときに、他のお客様のテーブルにはすぐ行けないでしょう。これまでも「店員を呼ぶ注文ボタンが押されてから、30秒以内にテーブルに赴く」というルールを決めてはいましたが、30秒でも、お客様からしてみると長く感じます。配膳ロボットを導入することで、従業員の歩行距離を減らし、対応力を高めようとしているのです。

 2021年8月の導入以来、ベラボットは一定の効果を挙げています。実験店でのお客様アンケートではロボットを活用したサービスに対し、9割のお客様が満足度が高いと回答されました。このことから、ロボットが、いかにお客様に自然に受け入れられているか、分かるのではないでしょうか。

 また、店舗オペレーションに関して言えば、従業員の歩行量は約4割低減しました。さらに、導入前と比較すると、お客様退店後の片付け時間が35%程度減っています。ベラボットを店内で稼働させることで、明らかに業務の効率化につながっているのです。

――数あるロボットの中でも、なぜベラボットを選んだのでしょうか。

北島 ベラボットという配膳ロボットの「走行が安定していて」「親しみやすい」という特徴が主な理由です。

 例えば、ガストを例にとると、ハンバーグやパスタ、パフェなど100品目以上のメニューがあるわけです。そのどれもが異なるサイズ展開をしていますし、お皿の大きさも違う。そんな中、綺麗に盛り付けしたメニューが崩れてしまうと、いくら省人化に成功していても、顧客満足度は低下してしまいます。

 ベラボットは極めて走行の安定性に優れているロボットであり、走行経路や段差の位置など、個店によって異なるレイアウトに対し適切なルートや位置を設定することができます。非常に、飲食店向きのロボットということです。

 さらに、ベラボットは親しみやすい「猫」というキャラクターであることも大きいです。シーンによって、13の異なる表情を見せるほか、顔の部分を撫でると「嬉しい」と言ったりするなど、お子様が喜ぶロボットだったことも好印象でした。