* 本コンテンツは以下講演の【講演動画】と【全文採録記事】で構成しています *
第2回 取締役イノベーション
特別対談2「『野性の経営~極限のリーダーシップが未来を変える~』より これからの未来をつくるリーダーが絶対に知っておくべき作法」
開催日:2023年2月17日(金)
主催:JBpress/Japan Innovation Review
2022年4月に発行された『野性の経営 極限のリーダーシップが未来を変える』は、ドイトゥン開発プロジェクトによりタイの麻薬生産地を理想郷へと変貌させたディスナダ・ディッサクン氏に学び「野性」に目覚めることを呼びかける、経営者必読の一冊です。本講演では、『野性の経営』の著者である一橋大学 名誉教授の野中郁次郎氏が、共著者であるフロネティック代表取締役の川田英樹氏を聞き手に、組織的なイノベーションに求められるリーダーシップについて語ります。
ディスナダ・ディサックン氏の親友であるという野中氏は、同氏のリーダーシップを紹介する『野性の経営』を発行するにあたり、「日本の経営は分析しすぎている」という問題意識があったといいます。日本の経営者は、オーバー・アナリシス(過剰分析)、オーバー・プランニング(過剰計画)、オーバー・コンプライアンス(過剰規制)により疲弊している。それを踏まえ、鍵となるのは「感じる」こと、そして「GRIT*¹(やり抜く力)」だと野中氏は語ります。
その上で、数値ありきの経済学的・分析的な考え方に代わるものとして、創造性の源泉である「野性」を解放・練磨する人間くさい戦略「ヒューマナイジング・ストラテジー(戦略の人間化)」を提唱します。その実現において、ホンダやトヨタが取り組む、徹底的な「知的コンバット」が必要であると野中氏はいいます。「知的コンバット」とは一体何なのでしょうか。
講演の後半では、「暗黙知」と「形式知」の相互補完性や、一見矛盾する二者を両立させる二項動態の方法論、さらには自己革新し続けるレジリエントな企業・社会・国家を構築する「実践知リーダーシップ」の概念へと話題は広がっていきます。
組織的なイノベーションには何が必要か。ディスナダ・ディサックン氏の精神から何を学び取るべきか。本講演から、企業変革のヒントが見えてきます。
*¹ Guts(度胸)、Resilience(復元力)Initiative(自発性)Tenacity(執念)の頭文字を合わせた造語。
【TOPICS】
- 書籍『野性の経営 極限のリーダーシップが未来を変える』について
- 現在の「日本的経営」の危機
- 「ヒューマナイジング・ストラテジー(戦略の人間化)」の必要性
- 共感と対話による集合的な意味付けの場としての「知的コンバット」
- 連続体としての「暗黙知」と「形式知」の相互作用
- 戦略構想と実践のための「ナラティブ」を構成する「プロット」と「スクリプト」
- 「二項動態」の経営事例(エーザイ・ソニー)
- 自律分散系組織による全員経営の大切さ
- 共通善を目指し、無限の努力を続ける「実践知リーダーシップ」とは