サステナビリティへの貢献は、いまや企業の主要課題。利益につながるという考えも定着してきた。そうした中、企業のサステナビリティ活動が生活者に伝わるようにするための「ブランド戦略」が重視されている。参考になるのが「自社のサステナビリティ活動が、生活者にどう感じられているのか」を指標にした「ジャパン・サステナブルブランド・インデックス」(JSBI)だ。2023年2月、最新版が「サステナブル・ブランド国際会議2023」(主催・博展)で公表された。調査・分析を主導した青木茂樹・駒澤大学経営学部教授と鈴木紳介・博展執行役員に注目ポイントを聞く。女性・若年層の持続可能な開発目標(SDGs)への関心が顕著になったほか、1位の企業の交代や、評価される業界のシフトも見られたという。

シリーズ「サステナビリティ経営の最前線」ラインアップ
経営戦略のど真ん中にある「日立グループのサステナビリティ戦略」に学べ
■企業のサステナビリティ活動、生活者はどう見ている?(本稿)
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サステナビリティ活動の全てを公表するセブン&アイの本気

生保会社だからこそ「本業と不可分」、ニッセイ流サステナビリティ経営の全貌
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サステナビリティ活動に「ブランド」の意識を

――企業のサステナビリティ活動の本質はどこにあり、ブランド戦略はどう関わってくるのでしょうか。

青木茂樹/駒澤大学経営学部市場戦略学科教授 Aalborg University Business School Visiting Scholarサステナブル・ブランド国際会議 アカデミック・プロデューサー 1997年 慶應義塾大学大学院博士課程単位取得。山梨学院大学商学部教授、University of Southern California Marshall School 客員研究員を歴任。多くの企業の新規事業の立ち上げやブランド構築に携わる。地方創生にも関わり、山梨県産業振興ビジョン策定委員、NPOやまなしサイクルプロジェクト理事長。人財育成として、私立大学情報教育協会FD/ICT活用研究会委員、経産省第1回社会人基礎力大賞を指導。やまなし大使。

青木茂樹氏(以下敬称略) 人類が活動をすると必然的にエントロピーは増大する、つまり乱雑さが増していくので、できるだけそれを低減しようとすることが本質です。そのために、資源を採っては捨てるだけの一方通行型でなく、回して使っていく循環型の考えに移行していかなければなりません。かつて多くの企業がサステナビリティのために費用を投じたところで利益を生み出せるのかと疑っていました。しかし、いまや企業活動にサステナビリティ活動を入れることは世界的潮流です。

 では、企業はどうやってサステナビリティ活動を進めればよいか。ここで重要になるのがブランドです。なぜなら企業活動は、生活者たちのブランド支持により成り立っているからです。サステナビリティ活動をする企業としてのブランドを生活者たちに支持してもらえれば、企業は生活者を巻き込む形で、社会全体のサステナビリティ実現に向かっていくことができます。商品・サービスを選んでもらうことにもつながります。