「水と生きる SUNTORY」をコーポレートメッセージに掲げるサントリー。創業以来、自然との共生を重視してきた同社は、「生物多様性」「循環経済」「気候変動対策」を柱に、環境課題の解決に取り組んでいる。20年以上続く「サントリー 天然水の森」活動、ペットボトルの100%サステナブル化、脱炭素化に向けたグリーン水素活用など、サステナビリティ活動の具体的な取り組みと今後の展望について、サントリーホールディングス常務執行役員 サステナビリティ経営推進本部長 藤原正明氏に聞いた。
新たな化石由来原料を使わないペットボトルをつくる
──サントリーは2021年に「コーポレートサステナビリティ推進本部」を「サステナビリティ経営推進本部」に改称してサステナビリティ活動に取り組んでいます。サステナビリティ経営推進本部とはどういった部署なのでしょうか。
藤原正明氏(以下敬称略)もともとは環境部としてスタートした部署ですが、ESGという文脈で領域が一気に広がり、それに対応する体制を整えてきた結果、現在の組織になりました。
大きく2つの役割があります。1つは、サステナビリティ活動の方針や戦略を策定し、全社に浸透させて活動を推進する機能です。もう1つが、最近特に力を入れているインキュベーション機能です。これは、サステナビリティへの取り組みを通して新しいビジネスの可能性を探る活動のことです。
例えば、私たちは使用済みペットボトルを新たなペットボトルに生まれ変わらせる「ボトルtoボトル」水平リサイクルを推進するために、ボトルの回収に関して全国100以上の自治体、40を超える事業会社と協定を結んでいます。今年5月には、東京都と環境保全活動に関する包括連携協定を締結しました。また、良質な地下水を育むべく森林の保全再生に取り組んできた「天然水の森」活動は20年以上続いており、現在は16都府県26カ所で展開しています。2024年4月からは「地域共創」をテーマに、地域の皆さまとともに新しい価値やビジネス創造の可能性を探る活動を始めました。それがインキュベーション機能です。
──サステナビリティ活動の柱として、サントリーは「生物多様性」「循環経済」「気候変動対策」を掲げています。「循環経済」に該当するペットボトルのリサイクルはどのように行われるのですか。
藤原 当社はペットボトルの100%サステナブル化を目指しており、主な方策が「ボトルtoボトル」水平リサイクルです。これは使用済みペットボトルを新たなペットボトルに生まれ変わらせ、再び飲料用ペットボトルとして使用する取り組みです。