習近平指導部「中国に対する懐疑・否定の言動と断固戦う」

 上海でロックダウン(都市封鎖)が続く中、習近平指導部は、徹底して感染を抑え込む「ゼロコロナ」政策を堅持する方針をあらためて示している。

 22年5月5日、中国共産党の最高意思決定機構である政治局常務委員会は会議を開き、これに習近平国家主席も出席した。

 この中で「ウイルスは絶えず変異しており、最終的行方にはまだ大きな不確実性がある。気を抜く時期ではない。我が国は“ダイナミックゼロコロナ”を堅持すべきだ」と強調した。また「我が国の感染対策を疑ったり、否定したりするあらゆる言動と断固戦う」とし、反発の声を抑え込む意向を示した。

地域経済よりゼロコロナ優先

 これついて、米JLウォーレン・キャピタルのチュンホン・リーCEO(最高経営責任者)は、「この声明で習近平指導部は地方政府に対し、地域経済よりゼロコロナを優先するように命じた」と指摘。今後自動車メーカーは、週ごと、あるいは日ごとに生産計画を立てる必要があるという。

 部品不足やサプライチェーン(供給網)問題、生産停止などが今後も続くとリー氏はみている。なおJLウォーレン・キャピタルは中国で事業活動する企業の市場調査を専門としており、200人以上のコンサルタントが同国を拠点に活動しているという。

 テスラのザック・カークホーンCFO(最高財務責任者)は22年1~3月期の決算発表で、「上海工場の閉鎖で約1カ月分の生産量が失われた。現在は限定的に再開しており、可能な限り迅速にフル生産に戻れるよう取り組んでいる」と述べた。

 一方、テスラのイーロン・マスクCEOは5月10日に英フィナンシャル・タイムズとのインタビューで、「この数日間、中国政府関係者と話した。ロックダウンが迅速に解除されることは明らかだ。私は今後数週間で重大な問題になるとは思わない」と述べている。

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