アップル ロゴ(写真:AP/アフロ)

 スマートフォン「iPhone」などを製造する中国の工場で、米アップルが現地技術者への依存度を高めていると、米ウォール・ストリート・ジャーナルが5月9日に報じた

厳格な入国管理、大規模派遣困難に

 新型コロナウイルスの感染拡大を徹底的に封じ込める中国政府の「ゼロコロナ」政策が、米国人技術者の中国渡航を難しくしているという。

 コロナ禍前、アップルは米国から毎月数百人の技術者を中国に派遣していた。アップル製品を手がける電子機器受託製造サービス(EMS)企業の業務を監督することが目的だった。しかし米国人技術者はこの2年間、中国政府の厳格な入国管理の下で同国から締め出されているとウォール・ストリート・ジャーナルは報じている。

 米ユナイテッド航空によると、アップルは2019年に米サンフランシスコと上海の浦東国際空港を結ぶ路線でビジネスクラスを毎日50席予約していた。だが20年初頭のパンデミック以降、技術者の大規模派遣をやめている。

現地技術者に権限付与、ライブ配信やARも駆使

 こうした中、中国の現地技術者はより大きな責任を担うようになった。この権限の付与は、何十年にもわたり技能を磨いてきた中国人スタッフの技術的専門知識の向上が背景にあるという。