アップル ロゴ(写真:AP/アフロ)

 中国・上海市とその近郊に工場を持つ米アップルの主要サプライヤー(取引先)が徐々に操業を再開しつつあると、米ウォール・ストリート・ジャーナルが4月29日に報じた。

中国政府の工場再開政策

 新型コロナの感染が拡大した上海と、近郊の江蘇省、浙江省ではゼロコロナ政策によってロックダウン(都市封鎖)が実施され、アップルの主要サプライヤーの多くが生産停止を余儀なくされた。

 こうした経済的打撃を受け、政府は工場の操業を再開させる政策を打ち出した。これまでのところ計画は段階的に進められているという。

 上海の西約50キロメートルに位置する江蘇省の昆山市は、電子機器受託製造サービス(EMS)大手の中国・立訊精密工業(ラックスシェア)や台湾・緯創資通(ウィストロン)などを、生産再開の優先的企業に指定し、そのリストを公表した。2社はいずれもアップルの主要サプライヤーだ。

 これらのサプライヤーは、従業員が外部との接触を断つ「バブル方式」を採用している。従業員が工場の敷地内あるいはその近くにとどまり、新型コロナの検査を定期的に行うことが条件となっている。中国各地で感染拡大が続く中、この方式による活動再開が主流になりつつあるという。

 プリント基板の台湾・欣興電子(ユニマイクロン)は2022年4月28日、江蘇省での生産を再開したと明らかにした。ノートパソコンの最終組み立てを主力とするEMS大手の台湾・広達電脳(クアンタ)は22年4月15日に上海工場で生産の一部を再開した。

アップルの業績に及ぼす影響

 だが、今後のアップルの業績は、サプライヤーがどれだけ迅速かつ広範囲に事業再開できるかにかかっていると、ウォール・ストリート・ジャーナルは報じている。

 アップルは22年4月28日の1~3月期決算発表で、半導体などの供給制約によって22年4~6月期に最大80億ドル(約1兆400億円)の売り上げ機会を逃す可能性があると述べた。

 アップルのティム・クックCEO(最高経営責任者)は電話会見で、「完成品の最終組み立て工場はすでにほとんどが生産を再開しており、上海ではこの数日間で新規感染者数が減少している」と述べた。一方で同氏は、「本格再開のためには各分野で生産を拡大させる必要がある」との認識も示した。

アップルの逸失売上高

 アップルは21年7~9月期決算発表で、同四半期の逸失売上高が約60億ドル(約7800億円)となり、同4~6月期の30億ドル(約3900億円)弱から倍増したと明らかにしていた。

 米アライアンス・バーンスタインのアナリストのトニ・サカーノギー氏は、アップルの21年10~12月期の逸失売上高は最大70億ドル(約9100億円)に上ったとみている。一方で22年1~3月期の逸失売上高は10億~20億ドルにとどまり、サプライチェーン(供給網)の停滞は改善されたという。

 中国では首都・北京でも感染者数が増加し懸念が高まっているが、アップルに関しては、北京のサプライヤーが比較的少なく、影響は限定的だとみられている。アップルが公開しているサプライヤー企業のリストによると、北京市とその近郊でアップル向け部品を製造している企業は8社にとどまる。

 これに対し、江蘇省に製造工場を持つアップルのサプライヤーは70社以上に上る。そのうち大半は上海近郊の昆山市と蘇州市に拠点を構えている。上海市でも約30社がアップル向け製品を生産している。

 (参考・関連記事)「アップル取引先200社の半数は上海都市封鎖の影響下 | JDIR