テスラの上海工場(写真:Featurechina/アフロ)
米電気自動車(EV)大手テスラの中国・上海工場が生産停止を余儀なくされたと、ロイター通信や米CNBCが5月10日に報じた。
テスラの中国EV販売、前月比98%減
5月9日に生産を中断した。部品調達が困難になったためだという。ロイターが入手した社内メモには、「工場は(翌日の)5月10日に再開するが、同日の生産台数は200台を下回る」と記されていたという。
新型コロナの感染が拡大した上海では、約2500万人が2022年3月下旬から厳しい外出制限下に置かれている。テスラの上海工場は22日間操業を停止し、22年4月19日に再開した。それ以降1日当たり1200台を生産していたという。
操業を再開してから22年4月末までの生産台数は合計1万757台。中国乗用車市場信息聯席会(CPCA)によると、テスラは4月中に中国で1512台のEVを販売した。
だがこの販売台数は前月の6万5814台と比較すると98%減となる。20年4月以降最も低い水準だ。これに先立ち、テスラは22年5月16日から1日当たり2600台の生産を目指すとしていた。
CNBCは今回の生産停止の要因について、米自動車部品大手アプティブ(旧デルファイ・オートモーティブ)の上海市嘉定区の工場で新型コロナの感染が確認されたためだと報じている。これにより市当局は施設を一時閉鎖した。アプティブはテスラの小型SUV(多目的スポーツ車)「モデルY」用ワイヤハーネスを製造しているという。
習近平指導部「中国に対する懐疑・否定の言動と断固戦う」
上海でロックダウン(都市封鎖)が続く中、習近平指導部は、徹底して感染を抑え込む「ゼロコロナ」政策を堅持する方針をあらためて示している。
22年5月5日、中国共産党の最高意思決定機構である政治局常務委員会は会議を開き、これに習近平国家主席も出席した。
この中で「ウイルスは絶えず変異しており、最終的行方にはまだ大きな不確実性がある。気を抜く時期ではない。我が国は“ダイナミックゼロコロナ”を堅持すべきだ」と強調した。また「我が国の感染対策を疑ったり、否定したりするあらゆる言動と断固戦う」とし、反発の声を抑え込む意向を示した。
地域経済よりゼロコロナ優先
これついて、米JLウォーレン・キャピタルのチュンホン・リーCEO(最高経営責任者)は、「この声明で習近平指導部は地方政府に対し、地域経済よりゼロコロナを優先するように命じた」と指摘。今後自動車メーカーは、週ごと、あるいは日ごとに生産計画を立てる必要があるという。
部品不足やサプライチェーン(供給網)問題、生産停止などが今後も続くとリー氏はみている。なおJLウォーレン・キャピタルは中国で事業活動する企業の市場調査を専門としており、200人以上のコンサルタントが同国を拠点に活動しているという。
テスラのザック・カークホーンCFO(最高財務責任者)は22年1~3月期の決算発表で、「上海工場の閉鎖で約1カ月分の生産量が失われた。現在は限定的に再開しており、可能な限り迅速にフル生産に戻れるよう取り組んでいる」と述べた。
一方、テスラのイーロン・マスクCEOは5月10日に英フィナンシャル・タイムズとのインタビューで、「この数日間、中国政府関係者と話した。ロックダウンが迅速に解除されることは明らかだ。私は今後数週間で重大な問題になるとは思わない」と述べている。
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