グーグルは21年11月に韓国の開発者向けウェブサイトで、代替決済システムに関する提案を行った。グーグルの決済システムに並んでアプリ開発者の決済システムを表示する方法を示している(グーグル韓国の開発者向けウェブサイト)。

 これについてソウルに拠点を置く独占禁止法を専門とする法律事務所のチョン・ジョンチェ弁護士は、「グーグルは韓国の新法について、代替決済システムはアプリ内のみで提供するものと解釈した可能性がある」と話す。「一方、韓国当局は、外部リンクを含むあらゆる決済手段を念頭に置いているようだ」(チョン氏)。同氏は「そもそもこの法律の文言は曖昧だ」と指摘している。

グーグル、外部決済容認も手数料請求

 グーグルはこれまで、「利用者が代替決済システムを選択した場合、開発者がグーグルに支払う手数料が4%ポイント減額される」と提案してきた。電子書籍アプリの場合は手数料が6%になる。また、ウォール・ストリート・ジャーナルによると人気ゲームアプリの場合は26%の手数料が課される。つまり、開発者が自前の決済手段を用意しても、料率は低くなるものの、手数料そのものを回避することはできない。

 アップルもすでに外部決済を容認する意向を韓国の通信当局に伝えた。だが、ウォール・ストリート・ジャーナルによると、同社は依然として韓国の新法に沿った具体的なポリシー変更を示していないという。

 他方、アプリストアの商慣行を巡り規制当局の監視が強まる中、グーグルとアップルは運営方法を段階的に変更している。

 グーグルは22年3月23日、スウェーデンの音楽配信大手スポティファイ・テクノロジーなどの一部のアプリを対象に、アプリストアで外部決済システムの利用を認めると明らかにした。アップルは22年3月30日、「リーダーアプリ」と呼ばれる雑誌や新聞、書籍、動画、音楽などの閲覧・視聴用アプリで、利用者を外部サイトに誘導するためのリンクを設置できるようにしたと明らかにした。

 (参考・関連記事)「アップル、韓国アプリストアで代替決済を容認 | JDIR